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CMA(英国・競争市場庁)は、GoogleとMetaの「Jedi Blue」契約に関する調査開始(これは、前のエントリでふれました)に続き、2022年5月26日に、Googleのアドテクに関する慣行について2回目の調査を開始しています。このプレスリリースは、こちらです。
このデジタル公告市場については、プライバシーサンドボックスに関する調査がなされており、このブログでも詳細にフォローしてきたところです。確約の最終受諾についてのエントリは、こちらです。
広告技術仲介業は、「アドテクスタック」とも呼ばれ、売り手(オンライン新聞などのコンテンツプロバイダーなどの出版社)と買い手(広告主)の間でオンライン広告枠の販売を促進する複雑なサービスの集合体になります。
2019年、英国の広告主はこのようなオンライン広告に約18億ポンドを費やしました。英国中の何百万人もの人々が、広告収入に頼って高品質な無料コンテンツを提供しているウェブサイトを利用しているため、この市場は重要であることが、強調されています。
グーグルは、アドテク・スタックのさまざまなレベルで強力な地位を占めており、パブリッシャーと広告主の両方に手数料を課しています。この業界の図は、以下のとおりです。
具体的にどのような行為が競争法上の懸念があるかということでいうと、以下の二つがあげられています。
CMAの最高責任者であるAndrea Coscelliは、次のように述べています。
Googleがアドテクノロジーにおける自らの立場を利用して、ライバル企業や顧客、ひいては消費者に不利益をもたらすような自社サービスを優遇している可能性があることを懸念しています。
これは、毎日オンラインで豊富な無料情報へのアクセスを享受している何百万人もの人々にとって悪いことでしょう。
この分野での競争が弱まれば、出版社の広告収入は減少し、出版社はコスト削減のためにコンテンツの質を妥協するか、コンテンツを有料壁の後ろに置くことを余儀なくされる可能性がある。また、広告主のコストを引き上げ、広告された商品やサービスの価格上昇に転嫁される可能性もあります。
私たちは、私たちの生活に大きな影響を与えるハイテク企業の行動を監視し続け、英国中の人々と企業にとって最良の結果が得られるようにすることが極めて重要です。
本件は、オンラインプラットフォームとデジタル広告に関するCMAの市場調査から派生したものです。市場調査は、こちらです。
また、CMAは、その後、より広範なアドテク・スタックの一部であるヘッダー入札サービスに関して、GoogleとMetaの「Jedi Blue」契約に関する競争調査を開始しています(2022年3月)。エントリは、こちらです
また、CMAは、GoogleのChromeブラウザからサードパーティのCookieやその他の機能を削除するPrivacy Sandbox提案に関連して、Googleが行った公約の遵守状況を監視しています(これは、前述)。
デジタル市場部門(Digital Markets Unit)を通じて、大手ハイテク企業の行動を統制する権限をCMAに与える法案の草案が作成されること、先日の女王の辞で発表されていますが、この法案が成立するまでは、CMAは、AppleのApp Store、Metaのデータ利用、AppleとGoogleのモバイルエコシステムなどの事件とともに、ハイテク分野における既存の権限を使って、競争に関する調査を進めていくことになります。
なお、事件のページは、こちらになりますが、具体的な情報としては、このプレスリリースを上回るものはでていません
なお、他の地域における法的手続との関係についていえば、
などが世界的な文脈であげられています。