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YoutubeでMPAセミナーの「ブロッキングと『通信のプライバシーの合理的な期待』-ガラパゴスの国の「通信の秘密」」の講演が公開されています。リンクは、こちら(私の部分)になります。
12月9日に知財学会での報告を予定しております(コンテンツ・マネジメント分科会「「ガラパゴスの国の「通信の秘密」-サイトブロッキングの議論におけるループホール」(第71回CMSC研究会)」)。その、予告編という位置づけになります。(タイトルは、変更するかもしれません)
私の観点からは、2018年のブロッキングのめぐる議論は、同年4月の
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[1]https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/180413/gijisidai.html
「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)」「資料2 インターネット上の海賊版サイトに関する進め方」などが配布資料とされた。
[2] 「漫画海賊版サイト遮断、政府、著作権保護で法整備へ、接続業者に対応促す。」の記事において「海外の「漫画村」や「AniTube(アニチューブ)︕」「MioMio(ミオミオ)」を明⽰。当⾯はこの3サイトに限り、緊急避難措置として接続業者が閲覧を遮断することが適当とした。」とは報道されている(2018/04/13 ⽇本経済新聞夕刊)。
[3] この「進め方」は、(1) 短期的な緊急措置としてのサイトブロッキング(2) 類似サイトが出ることを想定した運用体制の整備(3) 法制度整備を含むものである。そして、(1)については、「「知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議」においてⅰ)特に悪質な海賊版サイトへのブロッキングが緊急避難(刑法第37条)の要件を満たす場合には、違法性が阻却されるものと考えられること、ⅱ)ブロッキングの対象として適当と考えられる特に悪質な海賊版サイトに関する考え方について、政府としての決定を行う」ものとされている。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/susumekata.pdf
などの経緯のもとで、コンプライアンスチェックなどが十分になされないままになされた発表が、肥大化された「通信の秘密」概念のもとで批判され、法的な議論を越えて、ブロッキングについては、慎重な検討をなすものとされたと認識しています。
この問題は、憲法、知的財産法、通信法のゾーンのシーム宛のパスみたいなものです。
要は、法律の議論としては、「アメリカンフットボールを前に投げるのは、反則なのか」という形で問題提起されるべきところ、この議論は、
「楕円形のボールを前になげるのが反則ですか」
と議論して、反対派は、ラグビーを念頭に議論していたみたいなところがあるだろうと考えています。詳しくは、ビデオをごらんください。
ということで、法律の論点としては、
(3)司法命令/行政命令と憲法との関係
など議論すべきであったのに、そのような貴重な機会を逃して3年以上の月日を過ごしてしまった、というのが私の意見です。
これらの論証のために、私のブログでは、
などを論じているところです。
証拠の意図的な(もしくは、過失に因る)無視
2000年までに郵政省(当時)の開催した
における議論で、基本的に、プロバイダの法的位置づけについての
すべてのサービスを検討の対象とした上で、例えば、情報の削除等の措置であれば、情報の削除等の措置を講ずる技術的な可能性(情報の管理可能性)という観点から検討するなど、必要に応じて、責任の範囲や要件でさらに絞って検討
する、という我が国での枠組が確認されたのですが、反対説は、これらの認識を意図的に無視するものであると考えています。
証拠、証拠、証拠
MPAセミナーで報告された渡辺先生からのデータについては、「海賊版サイト閲覧コロナで倍増 月6億回、業界団体調査」で紹介もされているとおりです。もはや、看過できないレベルに達していると考えます。EBPMという言葉のとおりに、事実をもとに考えていくべきです。
政府のやることはいつ拡大されるかわからないといって反対するのは、法律家としての姿なのか、ということを考えます。もし、現代社会での責任ある法律家として考えるのであれば、肥大化した通信の秘密をどのようにして、現代社会にフィットした形に解釈するか、そして、安定した法的なシステムを構築するか、というように考えなければなりません。
Least Cost Avoider(最小限損害回避者)
現状は、
となっています。我が国に海賊の足元の「財」を移転し、国民の「財」を確保しなければならないのです(欧州は、これを「付加価値」の確保と読んでいますね- ダイナミック・ブロッキングの状況-欧州議会調査サービス「デジタル環境におけるスポーツイベント主催者の直面する課題」 5欧州付加価値)。法律家は、その解釈のもたらす結果に責任を負わなければならないはずです。私には、海賊のもとに財宝がとどまったままであることが正義であるとは到底おもえません。
「瑞典、葡萄牙、墺太利、匈牙利の無線電信立法-電波法の「通信の秘密」の数奇な運命のトリビア」でも触れたように、海外からの情報をえることが容易にはできなかった100年前でも、法律家としての先輩方は、たくさんの国の法律を詳細に検討して我が国の国民のために、貴重な法という資産を築いてくれたのです。(これは、セミナーのパネルディスカッションにでています) 政府からのお仕事をお手伝いさせていただくときに、心していることは、依頼者は、国民であるということで、その基本原則に忠実にいたいと考えています。
私は、そのような偉大な先輩たちのあとに続きたいと思います。
その意味で、裁判所での命令をもとに個別・具体的なアクセス防止のための手法を可能にするという意味でのブロッキングを考えるべき時にあると考えています。
もう、政治的な活動はやめて、「法律」のプロとしての議論をしましょう。そのときです。