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7月9日に公表された「米国経済における競争促進に関する大統領令」(Executive Order on Promoting Competition in the American Economy)についてみていきます。全般をみても仕方がないので、IT関係にシンクロするところをみます。
翻訳は、まるちゃんのブログです。
この大統領令は、わが国でも、かなり注目を集めているということができるのではないでしょうか。日経新聞でも「米政権、大企業寡占にメス」という報道がなされ(7月11日)、また、「米、IT/金融巨大化認めず」(上)という特集が組まれています。 また、「競争政策、半世紀ぶり転換」という解説がでています。
まずは、
米国の情報技術分野は、長年にわたり革新と成長の原動力となってきましたが、今日では、少数の支配的なインターネット・プラットフォームが、その力を利用して、市場参入者を排除し、独占的な利益を引き出し、個人情報を収集して自分たちに有利になるように利用しています。 このようなプラットフォームや少数のオンラインマーケットプレイスに依存して生き延びている経済界の中小企業はあまりにも多い。 また、インターネット・プラットフォームが広告市場を支配していることもあり、あまりにも多くの地方紙が閉鎖や縮小を余儀なくされています。
とされています。そして、注意すべき市場として
本命令は、産業の過度な集中、市場支配力の乱用、独占およびモノプソニの弊害に対処するために、反トラスト法を施行することが我が政権の方針であることを確認するものである。特に、労働市場、農業市場、インターネット・プラットフォーム産業、ヘルスケア市場(保険、病院、処方薬市場を含む)、修理市場、および外国のカルテル活動の影響を直接受ける米国市場において、これらの問題が発生する。
市場としては、インターネット・プラットフォーム産業が挙げられている点、また、修理市場が挙げられている点は興味深いです。
ちなみに修理市場については、「修理の権利」に関して「修理市場における公正?-NY州の「公正な修理法」が上院通過」というエントリで触れておきました。
また、独占禁止法を施行して、特に連続的な合併、新興の競争相手の買収、データの集約、注目市場での不公正な競争、ユーザーの監視、ネットワーク効果の存在に起因する、支配的なインターネット・プラットフォームの台頭など、新しい産業や技術がもたらす課題に対応することが、我が政権の方針です。
が挙げられています。
2016年4月15日付の大統領令13725号(Steps to Increase Competition and Better Informers and Workers to Support Continued Growth of the American Economy)に記載されている方針
と
シャーマン法、クレイトン法、1921年の港湾・家畜飼育場法(Public Law 67-51, 42 Stat. 159, 7 U.S.C. 181 et seq.) (Packer and Stockyards Act)、Celler-Kefauver Antimerger Act (Public Law 81-899, 64 Stat.1125)、Bank Merger Act (Public Law 86-463, 74 Stat.129, 12 U.S.C. 1828)、Telecommunications Act of 1996 (Public Law 104-104, 110 Stat.56)などを成立させた原則に連邦政府はコミットしている。
カーン委員長の「アマゾンの反トラストのパラドックス」が、議会の意思をもちだして、議会は経済力の過度の集中を防ぐために反トラスト法を制定したことを明確にしている。このビジョンは、開かれた市場の維持、独占的濫用からの生産者と消費者の保護、政治的・経済的支配の分散など、様々な目的を促進するものであるを主張していたことを主張していたわけですが、この
成立させた原則に連邦政府はコミットしている
というところに、同一の方向性を感じます。
ここでは、まず最初に
シャーマン法、クレイトン法、連邦取引委員会法(Public Law 63-203, 38 Stat.717, 15 U.S.C. 41 et seq.)などの反トラスト法は、米国経済の独占化に対する第一の防衛線である。
としています。これは、特に問題はないでしょう。しかし、これに加えて
(b) 反トラスト法は、これらの特定の制定法を超えて、競争を支持する基本的な政策を反映している。 例えば、最高裁が述べているように、シャーマン法は、「競争力の自由な相互作用が、経済資源の最適な配分、最低価格、最高品質、最大の物質的進歩をもたらすと同時に、民主的な政治的・社会的制度の維持を助長する環境を提供するという前提に立っている」
「カーンの逆襲」としたこの図を思い出さないといけないかと思います。反トラスト法によって、取得して追求される法益を消費者厚生として定義して、現代経済学の知見をもとに事実と証拠をベースに構築してきた体系を、さらに、生産者/消費者の保護、政治的/経済的支配の分散などの利益を追求するものに変えていこうということが念頭におかれていることを実感することになります。日経新聞の「競争政策、半世紀ぶり転換」という解説は、この点を詳しく述べています。
これは、同条(c)で種々の業界固有の追加的な保護の法律が掲示され、(d)において、これらが、 不当、欺瞞的、虐待的なビジネス慣行の取り締まり、統合に抵抗し、業界内の競争を促進すること、競争を促進するための規則の発布、 強制的な情報開示により市場の透明性の促進を強調しているのは、まさにそのような方向ということになります。
米国の反トラスト法の執行体制は、司法省と連邦取引委員会との重複した仕組みが、いろいろと議論されています。それに関して、(a) で
議会は、反競争的行為の取り締まりと合併の監視において、重複した機関の管轄権を頻繁に設けている。 政府機関の管轄が重複している場合には、各機関の専門性を生かし、政府の効率性を向上させるために、監督権限の行使において完全に協力するよう努めるべきであるというのが、我が政権の方針である。
とされています。そして、「適切かつ適用法に沿って、以下の点について努力を調整することが奨励される。」となっています(b)。
第4条では、大統領執行部内にホワイトハウス競争評議会を設置する(a) として競争問題に対する対応が、バイデン政権の大きな課題をであることを明らかにしています。
この審議会は、過集中、独占、不正競争に対処するための連邦政府の努力を調整、促進、推進するものであり、特定された行政措置の実施、管轄が重複している問題について、各省庁の 協力および調整のための手順およびベストプラクティスの発展などを課題とします。
ここでは、種々の事項に対しての競争政策を見直すことが述べられています。
まずは、
分野横断的なものとしてとして
(b) 司法長官、FTC 議長、およびクレイトン法を執行する権限を持つ他の機関の長は、反トラスト法を公正かつ積極的に執行するよう奨励される。
となります。そして
(c) 本命令の第1項に記載されているように、経済全体の多くの市場における産業の統合に対処するために、司法長官およびFTC議長は、水平・垂直合併ガイドラインを見直し、これらのガイドラインを改訂するかどうかを検討することが奨励される。
知的財産権の濫用というのは、いまや、競争法全体に対しての検討すべきテーマになります。
(d) 付与された特許の範囲を超えて市場支配力を反競争的に拡大する可能性を回避し、標準設定プロセスを濫用から保護するために、司法長官および商務長官は、知的財産法と反トラスト法の交差に関する彼らの立場を修正するかどうかを検討することが奨励される。2019年12月19日に司法省、米国特許商標庁、米国標準技術研究所が共同で発表した「自主的なF/RANDコミットメントの対象となる標準必須特許の救済に関するポリシー・ステートメント」を改訂するかどうかを検討することを含めて。
分野ごとの検討
以下は、分野ごとです。ITにかかわらないところは、基本的にスルーします。
データプライバシーについては、
(h) 競争を阻害する永続的かつ反復的な慣行に対処するために、FTCの議長は、議長の裁量により、以下のような分野において、適切かつ適用法に沿ってFTCの法定規則制定権を行使するために、他の委員会と協力することを検討することも奨励される。
(i) 競争、消費者の自主性、消費者のプライバシーに損害を与える可能性のある不公正なデータ収集および監視行為。(略)
(iv) 主要なインターネット市場における不公正な競争。
電気通信市場です。
(l) 競争、低価格、および活気に満ちた革新的な電気通信のエコシステムを促進するために、連邦通信委員会の委員長は、適切かつ適用法に沿って、他の委員会と協力して検討することが奨励される。
(i) 1996年電気通信法によって改正された1934年通信法のタイトルII(Public Law 73-416, 48 Stat.1064, 47 U.S.C. 151 et seq.)の下で以前に採用されたものと同様の「ネットワーク中立性規則を、適切なルールメイキングによって採用すること。Reg. 19738(2015年4月13日)に記載されています。
(略)
(iv) エンドユーザー向け通信契約の不当または不合理な早期解約料を禁止し、消費者がより容易にプロバイダーを変更できるようにすること。
(v) ブロードバンドサービスプロバイダが、プロバイダの価格・料金、パフォーマンス、ネットワークの慣行に関する明確、簡潔かつ正確な情報を消費者に提供するために、2016年4月4日に発行された欧州委員会の公告(DA 16-357)に記載されているようなブロードバンド消費者ラベルを表示することを要求する規則制定を開始すること。
(vi) 価格の透明性と市場の機能を向上させるために、ブロードバンドサービスプロバイダがブロードバンドの価格と加入料金を定期的に連邦通信委員会に報告することを義務付けるための規則制定を開始すること。
(vii) 家主やケーブル・インターネットサービス事業者が、入居者の事業者間の選択を阻害することを防止するためのルール作りを開始すること。
となっています。
個人的な趣味で、ドローンと宇宙の部分をいれておきます。
(m)
(iii) 低高度の無人航空機システムによる配送、高度なエアモビリティ、高高度の長時間運行など、航空宇宙を利用した新しい輸送技術の出現は、アメリカの旅行者や消費者にとって大きな可能性を秘めているが、一方で早期の独占や新たな航空管制問題を引き起こす危険性もあることから、運輸省がこれらの技術に関して以下のような行動をとるようにする。
(A) 安全性の確保、セキュリティとプライバシーの提供、環境の保護、公平性の促進を図りつつ、競争と経済機会を促進し、独占に抵抗するために、米国の市場におけるリーダーシップと市場参入を促進するイノベーションを促進すること。
(B) 市場参加者を注意深く監視すること。
この点についてベゾス氏の宇宙旅行について、アマゾンが新市場を征服するのを狙っているとか、わからないことをいわないことを願っています。
モバイルアプリケーションの検討については、
(r) 商務長官は以下を行う。
(iii) 本命令の日付から1年以内に、司法長官および連邦取引委員会委員長と協議の上、オープンで透明性のある利害関係者の協議プロセスを実施することを含めて、モバイルアプリケーションのエコシステムに関する調査を実施し、エコシステムに関して競争を改善し、参入障壁を低減し、ユーザーの利益を最大化するための知見および提言に関する報告書をホワイトハウス競争評議会委員長に提出する。
修理の権利は、なんと、国防長官のところで出てきます。
(s) 国防長官は、以下を行うものとする。
(iii) 本命令の日付から180日以内に、国防総省または軍人が、特に現場で自分の機器を修理することを困難または不可能にする調達契約の契約条件を回避するための計画について、ホワイトハウス競争評議会の議長に報告書を提出する。
金融機関(e)、賃金談合(f)(もっとも、引き抜き防止談合の問題は、IT業界のものかもしれませんが)、転職制限契約対処(g)、農家の生産物市場(i )、ビール・ワイン等(j)、 航空市場(m)、鉄道業界(n)、海事法(o)、補聴器・健康保険・処方薬等(p)、輸入薬(q)についての記述はバスします。
第6条は、一般規定です。
反トラスト部門のリチャード・A・パワーズ検事総長代理とリナ・カーンFTC委員長の声明(競争法施行令による合併ガイドラインの改訂検討の呼びかけについて)”Statement of FTC Chair Lina Khan and Antitrust Division Acting Assistant Attorney General Richard A. Powers on Competition Executive Order’s Call to Consider Revisions to Merger Guidelines”が公表されています。
以下の共同声明は、反トラスト部門のリチャード・A・パワーズ検事総長代理と連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長によるものです。
“我々は、合併ガイドラインが現在の経済的現実と経験的学習を反映し、法律が求める懐疑心を持って合併を審査するように執行官を導くことを保証しなければならない。現行のガイドラインが過度に寛容なものであるかどうか、厳しく検討する必要があります。我々は、適用法に合致した厳格な分析手法を反映したものに更新することを目的として、近々、合併ガイドラインの見直しを共同で開始する予定です」と述べています。
この大統領令を支える事実についてが「ファクトシート」として公表されています。 特にゴシック体のところは、強調されていますね。法律家的には、ブラックレターですね。
バイデン大統領のリーダーシップのもと、経済は活況を呈しています。大統領就任以来、300万人以上の雇用が創出されており、これは近代史上、大統領就任後の最初の5ヶ月間に創出された雇用の中で最も多いものです。今日、大統領はこの経済の勢いをさらに加速させるために、米国経済における競争を促進するための大統領令に署名しました。これにより、家庭の価格が下がり、労働者の賃金が上がり、イノベーションが促進され、さらに速い経済成長が期待できます。
何十年もの間、企業の統合が加速しています。米国の75%以上の産業では、20年前に比べて、少数の大企業がビジネスの多くを支配するようになっています。これは、ヘルスケア、金融サービス、農業などの分野にも当てはまります。
このような競争の欠如は、消費者の価格を上昇させます。少数の大企業が市場を支配するようになったことで、マークアップ(原価を超える料金)は3倍になりました。 家庭では、処方薬や補聴器、インターネットサービスなどの必需品に高い値段がつけられています。
また、競争の障壁は労働者の賃金を下げています。街に数社しか雇用主がいない場合、労働者はより高い賃金を求めて交渉したり、職場での尊厳と敬意を要求する機会が少なくなります。実際に、業界の統合によって広告賃金が17%も低下しているという調査結果もあります。また、建設業や小売業を含む数千万人のアメリカ人が、就職の条件として競業避止義務を課されており、より賃金の高い仕事に転職することが困難になっています。
競争の欠如による価格の上昇と賃金の低下により、アメリカの一般家庭では年間5,000ドルのコストが発生していると推定されます。
不十分な競争は、経済成長とイノベーションを妨げます。大企業のせいで、優れたアイデアを持つアメリカ人が市場に参入するのが難しくなっているため、新規企業の設立率は1970年代から約50%も低下しています。また、既存の中小企業や独立系企業が市場に参入し、適正な利益を得る機会も少なくなっています。 経済学者によると、競争が減ると生産性の伸びが鈍り、企業の投資やイノベーションが減り、所得、富、人種の不平等が拡大するという。
過去の大統領たちは、企業の力の増大による同様の脅威に直面したとき、大胆な行動をとりました。1900年代初頭、テディ・ルーズベルト政権は、スタンダード・オイルやJ.P.モルガンの鉄道など、経済を支配していた信託を解体し、小市民に戦うチャンスを与えました。1930年代後半、ルーズベルト政権は、反トラスト法の施行を強化し、わずか2年間で訴訟件数を8倍以上に増やしました。この施行により、消費者は現在の金額で数十億ドルを節約し、数十年にわたる持続的かつ包括的な経済成長を実現することができました。
今日、バイデン大統領は、企業統合の傾向を減らし、競争を激化させ、米国の消費者、労働者、農家、中小企業に具体的な利益をもたらすために、断固たる行動を起こしています。本日の歴史的な大統領令は、アメリカ経済の競争を促進するための政府全体の取り組みを確立しました。この大統領令には、10以上の連邦政府機関による72の取り組みが含まれており、経済全体で最も差し迫った競争問題に迅速に対処しています(高橋-原文太字)。これらの取り組みが実施されれば、人々の生活に具体的な改善がもたらされます。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
また、主要な反トラスト機関に対し、主要な市場での問題に執行努力を集中することを奨励し、企業統合に対する他の機関の継続的な対応を調整します。本命令は
本令の主要な行動のより詳細な概要は以下の通りです。
労働市場、ヘルスケア、交通、農業(省略)
インターネットサービス
本命令は、インターネットサービスの競争を制限し、価格を上昇させ、選択肢を減らす4つの問題に取り組んでいます。
2億人以上の米国住民が、信頼できる高速インターネットプロバイダーが1社または2社しかない地域に住んでおり、このような市場では、選択肢が多い市場に比べて価格が5倍も高くなっています。これに関連して、家主とインターネットサービスプロバイダーが独占契約や談合契約を結び、入居者に1つの選択肢しか与えないという問題も発生しています。このような問題は、低所得者層や社会から疎外された地域に影響を与えます。なぜなら、家主とISPの取り決めは、新しいプロバイダーによるブロードバンドインフラの拡大を効果的に妨げてしまうからです。
大統領は本命令の中で、FCCに以下のことを促しています。
価格の透明性の欠如。
消費者に選択肢があっても、比較検討は困難です。米連邦通信委員会(FCC)によると、ブロードバンドサービスの実際の価格は、広告よりも40%高い場合があります。オバマ・バイデン政権では、FCCは「ブロードバンド成分表」の開発に着手しました。これは、提供されるインターネットサービスに関する基本情報を提供し、消費者が選択肢を比較できるようにするためのシンプルなラベルです。トランプ政権のFCCは、その計画を放棄したのである。
高橋注 こんな感じ
大統領は本命令において、FCCに以下のことを促している。
高額な解約料。
消費者がより良いインターネットサービスを見つけたとしても、インターネットプロバイダーが課す高額な早期解約料(平均200ドル近く)のために、実際には乗り換えることができない場合がある。
大統領は本命令の中で、FCCに対して以下のことを推奨しています。
インターネットへのアクセスを差別的に低下させている企業
大手プロバイダーは、その力を利用して、インターネットサービスを差別的に遮断したり、速度を低下させたりすることがあります。オバマ・バイデン政権のFCCは、これらの企業にすべてのインターネットサービスを平等に扱うことを義務付ける「ネットワーク中立性」規則を採用していましたが、2017年にこれが取り消されました。
今回の命令で、大統領はFCCに以下のことを促しています。
前政権で取り消されたネットワーク中立性のルールを復活させること。
本命令は、支配的なテクノロジー企業が競争を弱め、イノベーションを減少させている3つの分野に取り組んでいます。
大手技術系企業のプラットフォームが、潜在的な競争相手を買収している。
過去10年間で、大手技術系プラットフォームは数百社を買収しており、その中には潜在的な競争上の脅威を排除するための「キラー買収」と呼ばれるものも含まれています。しかし、連邦政府機関は、これらの買収を阻止したり、条件を付けたり、場合によっては意味のある調査を行わないことが多々ありました。
大統領は、本命令において
大技術プラットフォームは、あまりにも多くの個人情報を集めている。
大規模プラットフォームのビジネスモデルの多くは、非常に多くのセンシティブな個人情報および関連データの蓄積に依存しています。
大統領は本命令の中で
大企業のプラットフォームが中小企業と不当に競合している。
大規模なプラットフォームの力は、顧客獲得のためにプラットフォームに依存している中小企業に対して、不当に優位に立つ機会を与えています。例えば、巨大なオンライン小売市場を運営する企業は、中小企業の商品の売れ行きを確認し、そのデータを利用して自社の競合商品を発売することができます。また、プラットフォームを運営しているため、自社の模倣品を中小企業の製品よりも目立たせて表示することもできます。
今回の命令で、大統領は
携帯電話メーカーなどが独立した修理工場を遮断する。
テック社などは、自己修理や第三者修理に制限を加え、部品や診断、修理ツールの流通を制限するなど、修理をよりコストと時間のかかるものにしています。
本命令で大統領は
銀行および消費者金融(省略)
この大統領令の背景については、WSJが、明らかにしています。「バイデン氏が狙う競争促進策、舞台裏の立役者は?大統領令策定の立役者はIT大手解体論者だ」
「ネットワーク中立性」の生みの親(日本の通秘のほうがはるかに早いのはさておき)のTim Wu氏です。
ウー氏は、オバマ政権時代のホワイトハウスを去った後、コロンビア大学法科大学院に戻って執筆した論文で「反トラスト法に絡む伝統的な競争に関する目標を達成するために、業界に特化した法律や規定などを活用する」戦略を掲げていた。
彼の論文は、「The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilded Age」(リンクは、補遺)ですね。(植村先生の論文評)
ということで、このウー論文もみないといけないと思います。
新ブランダイス学派の論文としてのファクトシートとそのサマリとしての大統領令なのかなあと思います。
ただ、個人的には、新ブランダイス学派が、現代経済学に抵抗しているように見えます。
大きな企業に足かせをはめれば、世の中は良くなる
というような単純な世界観に基づいていたりしないだろうとかと勝手に心配したりしてしまいます。
最後のところは、もうすこし、具体的にカーン論文やらウー論文、それに対する反論をみていかないといけないだろうと思います。カーン論文は、ヒップスター論文と批判されているみたいですし、面白そうです。