ネットワーク中立性講義 その13 競争から考える(5)

その12で「非対称規制」について触れました。

固定通信市場と移動体通信市場にわけて考えてみましょう。

(1)固定通信市場

ここで、固定系の市場というのは、実際の利用の場所(家庭なり、事業所なり)から、インターネットへの接続が固定線で行われている場合をいうことになります。

市場の構造としては、NTT東西が、サービスベースで、70%、設備ベースで、78パーセントになります。(データについては、「電気通信事業分野における市場の動向」による)

競争事業者としては、CATV(例、近鉄ケーブルネットワーク)が、光シェアで、3.4%、電力系事業者(例、ケイ・オプティコム)(同 8.9%)、KDDIが12.8%になります。

でもって、この接続サービスの上に、さまざまなサービスが乗っかって(?-Over The Topと呼ばれることもあります)、提供されるということになります。

代表的なものとして、動画配信サービスがあります。この市場規模は、2016年において、1636億円になり、シェアは、上位から、「dTV」、「Hulu」、「U-NEXT」となるとされています(動画配信(VOD)市場に関する調査結果)。

非対称規制の関係からいうと、接続市場と動画配信市場を考慮することができるわけです。ここで、NTT東西は、第一種指定電気通信設備ということになるので、情報の目的外流用の禁止、不当な優先的取扱・利益供与・不利な取扱・不利益供与の禁止、他の事業者等に対する不当な規律・干渉の禁止が適用されます。その意味で、接続市場の支配的地位を濫用することができなくなっています。

「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」があって、そこでは、独占禁止法上、電気通信事業法上問題となる行為が明らかにされています。具体的には、54頁以下において、第四 コンテンツの提供に関連する分野で議論されています。

もっとも、ここであげられている具体的な問題は、移動体電気通信市場において議論されるものが多いので、議論としては、そちらですることにしましょう。

(2)移動体通信市場

移動通信市場は、携帯電話・スマートフォーンなどで通信をする市場ということになります。(もっとも、細かくみていくと、通話とインターネット接続とが、どのような関係になっているのか、というのを問題とすることはできそうですが、一般には、考えていないようです)。

市場シェアでみていくと、NTTドコモは、携帯電話等シェア 43.3%、KDDIグループ(UQを含む)は、28.9%、ソフトバンクグループは、27.8%となっているとのことです。

それぞれの設備が、第二種指定電気通信設備として指定されていること、また、NTTドコモが禁止行為規制適用(事業法30条1項)事業者となっていることになります。

ここで、現在は、移動体端末上において、ゲーム、音楽、動画、電子書籍等の各種サービス(コンテンツ)を利用することが可能になっています。上記の「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」においては、このコンテンツ利用について、種々の行為が議論されています。

指針においては、端末の操作によってアクセスすることができるメニューリストの掲載について議論がなされています(詳細は、55頁以下です)。

もっとも、私のように、SIMフリーで家族のパケット代節約こそが、移動体の使いこなしの肝と考えている人間には、このような問題の設定は、若干?だったりします。(報告書が、平成28年5月なので仕方がないといえば、仕方がないのですが)現在は、パケットの所定データ量の上限に達した場合に、通信速度が制限されるので、その所定データ量の算定に、特定のコンテンツを利用している場合に、データ量として算定しないということが許されるのか、という問題のほうが、重要なようにおもえます。

この問題は、「ゼロレーティング」の問題と呼ばれています(やっと、この問題に戻ってきました)。従量制の通信サービスの課金対象から、特定のサービス・アプリケーションを除外するものと定義することができるでしょう。

ゼロレーティングの問題は、競争に及ぼす影響を主に、その余の問題についても、広く考えていくということになります。エントリを変えて考えることにしましょう。

It's only fair to share...Share on LinkedInTweet about this on TwitterShare on Facebook