お電話での問い合わせは03-6805-2586
「見えてきた現実、ロボットにも法的責任 (AIと世界)」という記事がでています。いくつかおもしろい点にふれているのでコメントしてみましょう。
まずは、欧州議会での決議( RESOLUTION )ですが、原文(Civil Law Rules on Robotics European Parliament resolution of 16 February 2017 with recommendations to the Commission on Civil Law Rules on Robotics (2015/2103(INL))
) は、ここになります。
詳細に検討する余裕はないので、タイトルだけみていくと
序
一般原則
民事責任
ロボットと人工知能の民事利用における責任の一般原則
研究とイノベーション
倫理的原則
欧州機関
知的財産およびデータの流れ
標準化、安全、セキュリティ
自律的移動手段
ケアロボット
医療ロボット
教育および雇用
環境インパクト
民事責任
国際的側面
最終局面
となっています。
理屈としては、これに基づいてロボットの民事責任における指令を作成するように推奨がなされている、ということになりそうです。
自律型のロボットについては、問題がどの程度具体的なのか、という問題がありそうです。自律型致死性兵器は、現実的な問題かもしれませんが、ここで念頭におかれている自動車、ケアロボット等で、どの程度、自律性のあるものが、現実的になるのか、というのは、もう少し具体的な問題が見えてから議論したほうが、議論がズレないでいいような気もしています。
あと、最初に紹介した記事で、個人的に興味深いのは、アルゴリズム取引の問題でしょうか。
「FinTech時代における証券取引の法律問題」については、2016年の情報ネットワーク法学会の研究会で発表したテーマでした。
「AIによる機械的行為を想定していない法律では取り締まりが難しい。」とありますが、それでも、アルゴリズム取引に対する法的対応が模索されているのは、念頭に置かれていいことかと思います。
アルゴリズム取引についていえば、北越紀州製紙株式に係る相場操縦事件が参考になるかと思います。少なくても、アルゴリズムが、金融商品取引法に反した取引を前提としていれば、法執行も可能になるわけです。
(事件については、証券取引等監視委員会「北越紀州製紙株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について(アルゴリズム取引の特性を利用することを意図した相場操縦)」決定要旨)
ただ、AIによる機会的行為というものとして、現代の技術をもとにすると、
株価騰落予測システム
時系列株価データをRNN(リカレントニューラルネットワーク)により解析するシステム
学術的に
モメンタム取引戦略への応用
自然言語解析を用いたイベント基盤の株価予測への応用
などがAI技術の応用とされています。いつものことですが、NLP(自然言語処理)だって、AIといっていいので、これもAI技術になるので、AIによる証券取引という分析枠組み自体が、あまり意味がなかったりということもあります。
ここで、(学術的な裏付けを離れて->要は、占いレベル)将来、どのようになるのかというのを推測してみることはおもしろいかと思います。何だかんだいっても、証券市場に関するデータをすべて把握して(証券取引をやる人には当たり前ですが、テクニカル派とファンダメンタル派があるわけですが、それらの人たちが、使うデータを全部のみこませてみましょう。それを特徴量を勝手に探して、株価を理由付けする。それができれば、将来の予測もできる)それから株価を分析するような方向に移ってくることになると思われます。
そうはいっても、そのような分析のできる仕組みを多数の業者ができるとはおもえないです。そうだとすると、もはや、株式市場は、限られた投資システムによる寡占市場になるわけです。プレイヤーは、どのようなプレイヤーが、どの会社の仕組みにもとづいて取引を出すのかを分析することができれば(板の分析ですね)、ほとんど勝ち続けることができるでしょう(証券取引所のコンピュータに近くて注文が出せればの話ですが)。この場合、証券市場をもとにした資本主義社会が生き残り続けることができるのか、思考実験をするのには、あまりにもおもしろいテーマなような気がします。