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戦略的市場地位をもつ企業への対応-英国の「デジタル市場のための新たな競争促進レジーム」(A new pro-competition regime for digital markets)

英国における「デジタル市場のための新たな競争促進レジーム」(A new pro-competition regime for digital markets)を見ていくことにします。諮問文書自体は、2021年7月です。それに対して、政府の検討事項やインパクト評価も公表されています。

なお、諮問に対しての政府の意見(A new pro-competition regime for digital markets – government response to consultation、2022年5月6日)については、こちらです。これは、別のエントリでみていきます。

これは、前のエントリで英国の競争市場庁の「英国のモバイルエコシステムについての中間報告」についてみましたが、そこで、「戦略的市場地位」(SMS)指定の基準を満たすものとして認識されるとともに、政府の「デジタル市場のための新たな競争促進レジーム」(A new pro-competition regime for digital markets)提案による新たな規制枠組みが重要であるということがふれられていたので、それをみようという趣旨になります。

この諮問において、政府は、デジタル市場のための新しい競争促進体制に関する提案を示しています。これらの改革を通じて、政府はハイテク産業の活力を高め、消費者をエンパワーし、経済全体の成長を促進しようというのです。このデジタル競争諮問は、デジタル市場のための新しい規制体制の確立に向けた最新のステップであるとされます。

これに至るまでに、Digital Competition Expert Panel (Furman Review):(2019年3月)、Cairncross Reviewa sustainable future for journalism(2019年2月)、House of Lords Select Committee on Communications(2019年3月)、Which?Control, Alt or Delete? The future of consumer data(2018年6月)がありました。

#Furman教授の講演です(“Unlocking digital competition” with Prof Jason Furman)。

そして、この政府の提案するアプローチは、

ジェイソン・ファーマン教授を議長とするデジタル競争専門家パネルによる勧告を基礎とし、デジタル市場タスクフォースからの助言に基づくものである。

とされています。

このコンサルテーションでは、以下のような制度に関する政府の提案についてフィードバックを求めています。

  • どの企業が制度の適用範囲に入るかを特定する基準とメカニズム
  • デジタル市場部門の目的と他の規制当局との連携
  • オープンな選択肢、公正な取引、信頼と透明性を促進するための新しい行動規範に対する我々のアプローチ
  • 市場支配力の根本原因に対処する「競争促進介入」に対するアプローチ
  • デジタル市場部門が制度の効果を確保するために必要とする権限
  • 制度の適用範囲内の企業に対する個別の合併制度について検討中の変更

このコンサルテーションに付随して、政府の提案に関する影響評価(impact assessment)も発表されています。また、ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、このコンサルテーションに関連する2つの調査報告書を発表しています。

この二つの報告書というのは、「デジタルプラットフォームを利用しての販売の経験」「デジタル市場における競争とイノベーション」になります。

また、CMA 自体の動きとしては、「英国競争・市場庁は,英国政府に対し,「デジタル市場における競争促進のための新たな規制」(A new pro-competition regime for digital markets)に係る15の提言を発出」 があります(日本の公正取引委員会の紹介)。

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私たちがコンサルテーションを求めている相手

政府は、幅広い意見を確実に収集するために、可能な限り多くの人々からこの提案に関する意見を求めているとしており、特に

  • 新興企業、慈善団体、中小企業、特に潜在的な「戦略的市場地位」を有する企業に依存している企業
  • 大小のテクノロジー企業、広告主、出版社、代理店組織
  • テクノロジー企業への投資家
  • 消費者の権利、デジタル権利、プライバシーとデータ保護、弱者に焦点を当てた市民社会組織
  • 学者、研究・政策組織 経済社会におけるデジタル競争の役割に特に関心を持つ組織
  • 国際競争または経済規制に焦点を当てた法律事務所およびその他の専門ビジネスサービス提供者

をあげています。

回答者にこの文書を通じて提起される質問を検討し、我々の提案を展開するに当たって事実と理由を提供するよう推奨しています。また、このコンサルテーションで提示された提案の予想されるコストと便益に関する証拠も求めており、具体的な質問はインパクトアセスメントに含まれています。 このコンサルテーションは英国全土を対象としています。しかし、我々は、英国内外の組織や個人からの回答を歓迎する。

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以下、この諮問文書を検討するために基本的に機械翻訳をもとにメモしていきます。

諮問文書

序文は、省略します。

エグゼクティブサマリー

デジタル経済は、私たちの生活と経済に驚くべき貢献をしています。デジタル部門は、英国経済に1500億ポンド以上の貢献をしており、その成長は他のほとんどの部門を上回っています。

デジタル技術は、仕事、情報へのアクセス、愛する人との連絡を取る方法を積極的に変化させています。 デジタル経済の繁栄は、「成長のための計画」で示された長期的な経済成長のための政府のビジョンの中核を成しています。

しかし、少数のデジタル企業へのかつてないほどの力の集中が、イノベーションと成長を妨げています。「大きなデジタル企業」の規模や存在は、本質的に悪いものではありません。しかし、英国および国際的なデジタル市場の特徴が、しばしば単一の既存企業に有利な「傾き(tip)」をもたらすという有力な証拠があります。これは、価格の上昇、起業家の参入障壁、消費者の選択肢とコントロールの減少につながる可能性があり、元に戻すことは困難です。世界中の政府や規制当局は、こうした問題に対処するための行動を取り始めています。

デジタル経済の潜在能力を最大限に引き出すためには、競争が鍵となります。企業間の競争がある活気あるデジタル市場は、イノベーションを推進し、生産性を向上させ、より多くの選択肢とより低い価格で、より質の高いサービスを消費者に提供することになります。

我々は、デジタル市場において世界をリードする競争促進体制を確立しています。英国の競争体制と制度は高く評価されているが、動きの速いデジタル市場特有の課題に対処する体制は整っていません。このコンサルテーションは、Jason Furman 教授が議長を務める Digital Competition Expert Panel による勧告を受け、それを基にしたものです。我々の詳細な提案は、デジタル市場タスクフォース(Taskforce)からの助言に基づくものである。

新しいアプローチの中心となるのは、競争市場庁(CMA)に Digital Markets Unit を設置することです

このユニットは、将来を見据え、急速に発展するデジタル市場に対応して迅速に行動できるようにします。その中心的な目的は、市場支配力の源泉と市場支配力の行使に起因する経済的損害の両方に対処することによって、競争を促進すること(競争的成果の促進を含む)です。

この制度は、害を及ぼす危険性が最も高い企業や活動に的を絞った、適切なものでなければならない。

証拠に基づく評価は、少なくとも一つのデジタル活動において、実質的かつ定着した市場支配力を持ち、戦略的な地位を築いている企業を特定するために用いられる。これには、その企業の市場支配力の影響が広範囲に及ぶか、重大である可能性がある場合も含まれる。これらの企業はDigital Markets UnitによってStrategic Market Status (SMS)に指定され、新体制の対象となる。

SMSを持つ企業は、どのように行動することが期待されるかを定めた強制力のある行動規範に従うことになります。この規範は、公正な取引、開かれた選択肢、信頼と透明性を促進し、企業の行動を形成して、悪い結果を未然に防ぐものです。また、SMSを利用する企業に依存する企業や消費者を全面的に保護します。

Digital Markets Unitは、デジタル市場をより大きな競争に開放することを目的とした介入策を導入する権限を持つことになる。これらの「競争促進的な介入」は、デジタル市場における実質的で凝り固まった市場支配力の根本原因に対処するものである。これには、データ関連の救済措置や消費者の選択を強化するための措置が含まれる可能性がある。 Digital Markets Unit は、新体制を監視し、執行するための様々な権限を持つことになる。この制度の焦点は、企業との建設的な関与を通じて懸念を解決することにある。しかし、デジタルマーケットユニットはコンプライアンス違反を抑止し、取り組むための強力な権限を必要とする。手続き的な公正さは、デジタル市場部門の決定に責任を持たせるための明確なプロセスとともに、この制度に組み込まれることになる。

政府はまた、SMSを持つ企業に対する新たな合併規則も検討している。この規則は、合併をより積極的に監視し、有害な合併がSMSを持つ企業の強力な地位をさらに強化したり、定着させたりする場合には、それを阻止することを目的としている。我々は、新しい規則がCMAによって監督されることを想定している。

このコンサルテーションは、デジタル市場のための新しい競争促進体制についての意見を求めるものである。このコンサルテーションでは、新体制に関する政府の提案をより詳細に説明しています。この協議は、より広範な競争改革を検討する我々の別の協議、’Reforming Competition and Consumer Policy’を補完するものです。

諮問終了後、政府は回答を慎重に検討し、提案をまとめる際にそれらを考慮する予定です。我々は、この制度を法制化するための法案を提出する前に、協議に対する回答を公表する予定である。

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1部 序

序は、デジタル市場の特徴、新たな競争促進体制の事案、デジタル市場を競争的にする政府の希望、より広い政府のイニシアチブとの関連から成り立っています。

これらの内容の要点は、サマリーでふれた通りです。

デジタル市場の特徴

これにおいては、デジタル市場においては、競争が働いていないところがあること、イノベーションの欠如、生産性の低さ、消費者の選択・コントロールの減少を導くことが述べられています。そこで、CMAの特定した特徴としては

  • ネットワーク効果と規模の経済
  • 利用者データへのアクセスの不平等性
  • 利用者の意思決定と初期値のパワー
  • 複雑な意思決定アルゴリズムに関する透明性の欠如
  • エコシステムの重要性

があげられます。

新たな競争促進体制の事案

限られたシステム的なハームにら対しては、現在の競争法のツールが不十分であること、競争上の懸念が特定され、指摘された時点においては、もはや早急に動く市場は、もはや回復不可能になっていること、政府は、事前対応的にデジタル企業の行動を形作る競争促進的な体制を構築することを決定した。これは、利用者と重要なデジタル企業との関係を支配することで、中小企業、消費者、競争を保護しようというものであり、デジタル市場ユニットによってなされることが考えられている。

デジタル市場を競争的にする政府の希望

提案されている競争促進体制は、デジタル企業間の競争を促進し、革新的な新興企業が既存企業と競争する機会を提供するものです。その結果、より質の高いサービス、より多くの選択肢、より低い価格がもたらされる。その設計と実施により、企業への負担を最小限に抑え、投資と経済成長を促進する。

これらの目的を達成するために、政府は提案されているフレームワークを設計する際に、考慮された原則は、以下のとおりである。

  • 証拠による、特性された問題への対応
  • 早急に行動するための、身軽な、俊敏かつ実効的なもの
  • 公開、透明で説明しうるもの
  • 先進的なもの(forward looking)
  • 両立しうるもの(Coherent )-他の規制枠組や国際的な動向と両立しうること
より広い政府のイニシアチブとの関連

この諮問は、2021年国家セキュリティおよび投資法を含む成長計画とより広範な立法にもとづくものである。具体的には、

  • 英国の競争および消費者動向の現代化
  • デジタル規則
  • 国家データ戦略
  • イノベーション戦略
  • 英国のG7での指導性
  • 維持性の推進

があげられています。

2部 デジタルマーケットユニット

2020年、政府はデジタル市場に関する新しい競争促進体制を実施・執行するため、専門のDigital Markets Unitを設立することを約束しました。これは Furman Review の主要な勧告でした。法定されたDigital Markets Unitは、SMSを持つ企業を指定し、それらの企業に対する強制的な行動規範を監督し、競争促進的な介入を実施する責任を負うことになる。他の規制当局と同様、Digital Markets Unitは、新体制の目的を達成するために、十分な権限と明確な目的を持ち、独立性と信頼性のある存在である必要がある。これを示すのが、以下の図です。

このDMUは、CMAの部局になります。Digital Markets Unitは、CMAの既存の競争に関する専門知識と評判を活用する一方で、将来を見据えた競争促進体制を実現するために必要な新たな専門能力を開発することができるようになる。Digital Markets Unitは、法定制度の迅速な確立を支援するために、2021年4月にCMA内に法定外形態で設立されました。

法定外のデジタル市場ユニットは、関連能力を有するチームの構築、デジタル市場に関する証拠の収集、産業界、学界、他の規制当局の利害関係者の関与など、様々な準備作業を行う。 政府はデジタル市場ユニットに対し、議会期間ごとに1回発行する戦略的指針を与える予定である。

DMU の 目標と義務

DMUの目的は、市場支配力の源泉と市場支配力の行使から生じる経済的損害の両方に対処することによって、競争と競争的成果を促進することであるべきだ。その包括的な法的目的と義務は、デジタル市場部門の基本的な目的を定義し、そのすべての行動の法的根拠を提供するものである。

タスクフォースは、デジタル市場部門の包括的な法的義務を「競争とイノベーションを促進することにより、デジタル市場における消費者と市民の利益を促進すること」とすることを提案した。これは、「消費者の利益のために、英国内外の競争を促進する」という CMA の法的義務とは対照的である。

デジタル市場部門の法的義務は、消費者の利益のためにデジタル市場における競争を促進すること(競争的成果の促進を含む)であるべきだと提案されています。これは、競争的な市場は、個人や企業にとって、より良いサービス、より多くの選択肢、より低い価格を推進する。デジタル市場部門は、単に企業間の競争をそれ自身のために促進するのではなく、消費者の利益のために競争を追求する必要があるという点に焦点をあわせるものです。CMAの試行錯誤を経た法定義務に沿ったものであるとされています。その上に、イノベーションを支援すべきであるとされている点に特徴があります。

イノベーションの推進と競争はしばしば手を取り合って行われる。競争圧力は企業に革新を促し、革新そのものは市場における競争を激化させることができる。しかし、デジタルマーケッツユニットは、短期的な競争の潜在的な利益と、より長期的なイノベーションのインセンティブを比較検討する必要がある場合もある。デジタル市場部門は、イノベーションと経済・市場への影響を適切に考慮すべきであるというのが我々の意図であるが、イノベーションは既に競争に包含されていることから、デジタル市場部門の中核的責務に明示的に含める必要は今のところないと考えている。我々は、イノベーションに配慮する追加的な補足的義務が、デジタル市場部門のこれらの評価を行う能力を強化する上で有用かどうかについて、意見を求めたい。

また、タスクフォースは、デジタル市場部門の包括的な法的義務の中に「市民の利益」への追加言及を提案し、より広い政策的関心を考慮した意思決定を行う能力を強化するとしている。我々は、デジタル市場における競争は、データプライバシーやメディアの多元性など、他の様々な問題と深い相互作用があることを認識している。

しかし、我々の考えは、デジタル市場部門の法的義務は、可能な限り簡素であるべきだということである。我々は、Digital Markets Unitの義務に市民への言及を含めるというタスクフォースの提案に同意しない。競争を促進するという Digital Markets Unit の中核的な目的の明確性が損なわれる恐れがある。

消費者の利益のために競争を促進する義務は、CMAの既存のアプローチが示すように、広範な消費者の利益を包含することができる。我々は、デジタル市場部門がその機能を行使する際に、体制の焦点、スピード、機敏性を損なうことなく、他の要因を考慮する権限をさらに与える追加措置に利益があるかどうかを検討している。これには、デジタル・マーケッツ・ユニットが特定の権限を行使したり、特定の義務を遂行したりする際に、裁量で関与できる政策課題に言及する補足的な義務を含めることができる。これは、他の規制当局と協議する義務や他の規制当局と協力する義務、またはその両方を補完することができる。

これらの検討のもとに、諮問事項1および2は

諮問事項 1:Digital Markets Unit に技術革新に配慮する補足的な義務を与えることの利点 とリスクは何か?

諮問事項 2:デジタル市場部門に、特定の状況において、デジタル市場の競争と相互作用する より広範な政策課題に関与する権限を与えることの利点とリスクは何か。また、どのようなアプローチを検討すべきか。

とされています。

資金の準備

これについては、直接の公共の費用負担になるのか、そうではない形にするのかということが諮問されています。

諮問事項3:デジタルマーケッツユニットのコストを、賦課金の一部または全額を通じて公共部門に還元する可能性を探るべきか。

規制の調整と情報共有

このことは、既存の規制体制と新しい競争促進体制の間に重要な相互作用を生み出し、デジタル企業が既存の規制当局のある新市場に進出するにつれて拡大する可能性があります。これらの相互作用とDigital Markets Unitの設立は、2つの重要な問題を提起しています。

  • SMSを使用する企業を規制する規制当局間の効果的な調整を図りながら、この体制を可能な限り合理的でシンプルなものにする方法。
  • 競争を目的とする既存の規制当局が、最も適した場所で新体制の要素を実現できるよう、新たな権限を必要とするかどうか。

デジタル市場部門は、例えば、SMSの評価を行うかどうかを検討する際に、他の規制当局の方がより適切な行動を取れるかどうかを検討する必要があります。これは、他の規制当局がすでに活動しているケースを優先的に排除する、他の規制当局と協力して救済策を策定・実施する、あるいは特定した問題を他の規制当局に引き継ぐ、ということを意味しうることになります。規制を円滑に、効果的な、不必要な負担を最小化することを確かにすることを目指しています。

この手法は、覚書やデジタル規制協力フォーラム(DRCF) や UK 競争ネットワークなどの任意団体などの非法的な取り決めがどのような役割を果たしうるかを検討することからはじまります。私たちは、効果的な情報共有が、機動的で無駄のない規制環境の鍵になると考えています。我々は、規制当局間の調整を支援し、異なる規制当局から同じ企業に対して同様の情報要求がなされるリスクを最小化するために、規制当局間の新たな情報共有ゲートウェイの事例を検討しています。

また、この検討において、DMUに他の主要規制当局(Ofcom、ICO、FCA-金融行動監視機構)との「協議義務」「協力義務」を与えるかどうかというのを検討しています。法的な相互協議の「協議義務」は、規制当局に関連分野の規制プロセスの早い段階で関与する義務を課すものであり、法的な相互協議の「協力義務」は、関連する規制上の相互作用について協力を義務づけるものである。(金融サービスにおける規制当局間の調整を支援する同様の仕組みは既に存在することが紹介されています)。

タスクフォースは、競争促進体制に関して、デジタル規制当局である Ofcom と FCA に DMUとの完全な同時権限を与えることを政府に提言しましたが、この諮問においては、政府は、SMSの指定など、本質的に経済横断的な機能を持つ場合、競争促進権限を各制度の機能間で共有することは非効率的であること、(新体制の確立の初期段階において)全体的に複雑化し、ビジネスに不確実性をもたらす可能性があること、からこのような方向性は、考えていないとされています。

別のアプローチとして、デジタル市場部門は、他の規制当局が部門別の専門知識を持ち、検討されている問題がその部門の競争義務に関連し、かつ、行動を起こすのに最適な場合、他の規制当局と限られた共同権限を共有することが考えられる。セクター規制当局は、例えば、規範的救済や競争促進的介入を通知し、実施するなど、体制の要素に的を絞った役割を果たすことができる。このオプションは、デジタル市場部門を主導的な規制当局とし、早期関与のための構造化されたプロセスを義務付けることによって、デジタル市場部門、Ofcom、FCAにおける調整の課題を解決し、またこの体制に追加のリソースを提供することが可能にするとされます。ただし、規制当局の責任に関して、複雑な状況や不確実性をステークホルダーにもたらす可能性があり、これは正式なプロセスや一般に公開されたガイダンスによって軽減される可能性がある。

国際的な両立(coherence)

また、国際的な協力の重要性、また、G7のリーダーのひとつとしてG7の競争当局の議論をリードするということも指摘されています。

これらの議論のもと

諮問4:デジタル市場における規制の調整を確保するために、非公式な取り決めを超える必要性はあるか?調整と分野別専門知識の最良の利用を促進するために、どのようなメカニズムが有用か、またその理由は?適切な規制当局を範囲に入れるか?

諮問事項5:規制当局が責任を持って効率的に情報を共有するためには、どうすればよいか?

DMUのより広い役割

上のタスクフォースは、SMS体制よりも広範の分野に対して、情報収集の権限が与えられるべきとしていましたが、それについても諮問がなされています。

諮問事項6:デジタル市場部門の監視機能の適切な範囲と権限について、どのような意見をお持ちですか?

第3部 戦略的市場地位(Strategic Market Status)

範囲と目的

DMUは、デジタル市場における競争の恩恵を解き放ち、少数の主要なデジタル企業の戦略的市場地位に取り組むことを目的とします。この制度は、害を及ぼす危険性が最も高いデジタル企業や活動に焦点を当てた、適切で、証拠に基づいた、慎重なものでなければならないとされます。そして、この制度は、デジタル市場部門が戦略的市場地位(SMS)を指定した企業に集中することを提案しています。

DMUが、ある企業をSMSに指定するために、その企業が少なくとも一つの活動において実質的かつ定着した市場支配力を持ち、戦略的地位を有していると結論づけるためのテストを行う必要があり、このテストの要素は以下の通りです。

活動の定義

Digital Markets Unit は、企業がすべての活動ではなく、特定の活動において SMS を有しているかどうか に評価を集中させるべきである。指定評価を特定の活動に集中させることで、SMS指定評価が企業にとって不必要な負担を回避することを保証する。また、デジタル市場部門は、潜在的なSMS企業のビジネスモデルのうち、競争に対して最大のリスクをもたらす部分に焦点を当てることができることを保証します。

このような観点から、オンラインプラットフォームとデジタル広告に関する CMA の市場調査に基づく潜在的な活動の例として、以下のものがあげられています。

  • Google Open Display – ウェブサイトに表示する広告の売買や選択を管理するために Google が提供する製品。
  • Facebookのソーシャルメディアプラットフォーム – Facebookが提供する、ユーザー、広告主、パブリッシャーが相互に作用し、通信するための製品。

#高橋の感想-ここで、興味深いのは、競争法との関係で、前提となる「市場」との関係について、以下のような観点があげられていることです。

この「活動」に焦点を当てる代わりに、デジタル市場部門は、1998年競争法の事例で行われているように、関連市場を正式に定義することができる。正式な市場定義では、どの製品が「イン」でどの製品が「アウト」かを決定する境界線を設定する必要がある。

我々の見解では、正式な市場定義を要求することは、市場支配力の確実な評価のために必要ではなく、指定プロセスの効率性を低下させることになると思われる。例えば、関連市場を正式に定義しなくても、関連する証拠(内部文書など)を解釈することは可能である。同様に、市場シェアは、単一の市場定義に落ち着くという正式なステップを踏まずに解釈することが可能である。。CMAのオンラインプラットフォームとデジタル広告に関する市場調査は、正式に市場を定義することなく、デジタル広告セクターにおける市場力の強固な評価を提供した。

この点についての対応が図示されています。

範囲となる活動

このような考察にもとづいて、この制度の範囲は、競争上の懸念が最も生じやすいデジタル活動に焦点を当てるように設計されるべきであること、競争懸念が生じる可能性のある新しいビジネスモデルにデジタル市場部門が対応できるよう、十分に柔軟な範囲とする必要があことがのべられています。

戦略的市場ポジションを持つ企業は、ネットワーク効果、規模の経済、範囲の経済、高い市場参入の固定費などの特性が最も存在しそうな活動に範囲を限定すべきことが、介入が、適切なものであることを確かにするという見解が述べられています。もっとも、ネットワーク効果など、それ自体が容易に定義したり測定したりできない抽象的な特性を用いて範囲を定義することは困難であるという認識も示されています。

デジタル市場タスクフォースは、政府がこの制度の適用範囲を「デジタル活動」に限定することを提案したものの、この諮問においては、これでは制度の範囲が広すぎて、利害関係者に十分な明確性を提供できない可能性があるということから、そのような広範な枠組を否定しています。

また、この制度の適用範囲を「デジタルプラットフォーム活動」に絞ることも検討したものの、「デジタルプラットフォーム」の一貫した、一般に認められた定義はまだなく、したがって、異なる法域や環境では、異なる製品やサービスがプラットフォームとして特徴付けられる可能性があること、また、最もよく対処できる競争上の懸念がある状況を除外する可能性があることから、制度の範囲を「デジタル・プラットフォーム活動」に狭めることに伴うリスクがあるとされています。

柔軟性と、この制度が焦点を絞った適切なものである必要性との間のバランスをとるという観点から、デジタル技術がその活動の一部として提供される製品やサービスの「中核的な構成要素」である活動に制度の適用範囲を限定することであるとしています。

協議事項7:デジタル技術が「中核的要素」である活動に範囲を限定することの利点とリスクは?例えば、「デジタル・プラットフォーム活動」のような、より狭い範囲を採用することの利点とリスクは何か。

SMS の基準とテスト

諮問においては、SMSの指定を受けるには、企業が少なくとも一つの活動において実質的かつ定着した市場支配力を有し、この市場支配力が企業に戦略的地位を提供しなければならないことを提案している。

実質的な市場支配力

実質的な市場支配力は、企業の製品又はサービスの利用者がその製品又はサービスの優れた代替品を欠いており、他の供給者による参入又は拡大の脅威が限定的である場合に発生します。これは、技術革新のインセンティブを低下させ、企業がより大きな競争があった場合よりも高い価格を請求し、低品質のサービスを提供することを可能にすることによって、消費者に害をもたらす可能性があります。市場支配力によって引き起こされる害に対処し、競争の利益を引き出すことが新体制の主要な動機であり、したがって、実質的な市場支配力はSMSの指定において重要な役割を果たす必要がある。

実質的な市場支配力を指定の必要条件とすることは、効果的な競争に直面している企業がこの制度の適用範囲に入るというリスクを排除することにもなる。デジタル企業は、大きなサイズや規模を持ち、多くの企業や消費者ユーザーを抱えているかもしれないが、それ自体が競争の問題を示しているわけではない。

定着した市場支配力(Entrenched )

市場支配力を獲得する可能性は、企業にとって投資や革新を行う強いインセンティブとなる。大きな市場シェアを獲得するインセンティブは、ライドヘイリング、オンラインマーケットプレイス、ソーシャルメディアなどのデジタル分野を一変させた破壊的イノベーションの推進に一役買っていると考えられ、もし、一過性の(transitory instances)実質的な市場支配力に対処するためにこの制度を適用すれば、このインセンティブが低下し、デジタル分野のダイナミックさが失われる可能性がある。

しかし、市場支配力が定着した場合、言い換えれば、ある企業の市場支配力が長期的に持続し、短期的・中期的に競争力を失いそうにない場合については、大きな懸念がある。市場支配力が定着したときこそ、競争的参入の見込みがほとんどないため、SMS体制が正当化されるのである。このような状況では、価格が持続的に高くなり、品質、投資、イノベーションが持続的に低くなる可能性が高い。従って、SMS企業の指定には、実質的な市場支配力と定着した市場支配力の両方が認められることが必要であるというのが我々の考えである。言い換えれば、SMS企業の地位は確立され、予見可能な将来において変化する見込みがないものでなければならない。

戦略的地位

諮問は、実質的な市場支配力と定着した市場支配力に加えて、対象の企業の実質的で強固な市場支配力が、「戦略的地位」、言い換えれば、その市場支配力の影響が特に広く、あるいは大きくなる可能性のある地位を提供するものでなければならないと提案しています。これは、市場支配力が大きく、定着しているデジタル企業は、搾取的行為や排除的行為によって損害を与える可能性があるが、多くの場合、新しい競争促進制度のものよりも、既存の競争手段に委ねた方が、対処する方法としてより比例的な対応といえるとしています。この場合には、市場支配力が大きく、定着している全てのデジタル企業をこの制度に含めることは不釣り合いでるとしています。

このような観点から、DMUは、企業が戦略的地位を有するかどうかを評価する際に、以下の4つの基準を考慮すべきであると考えている。

  • 例えば、ある製品が人口の非常に高い割合で定期的に使用されている場合や、ある製品によって促進される取引の価値が大きい場合など、その企業がある活動において非常に大きなサイズや規模を達成しているかどうか。
  • 多様な事業者にとって、消費者への重要なアクセスポイント(言い換えれば、ゲートウェイ)であるかどうか、または、多様な事業者にとって、活動が重要なインプットであるかどうか。
  • 企業がその活動を利用して、その活動における市場支配力をさらに強化・保護するか、または、その市場支配力を他の様々な活動に拡大できるかどうか。
  • 企業がその活動を利用して、企業自身のエコシステムの利用者のための「ゲームのルール」を決定し、さらに広い市場でそれらのビジネスのための慣行を設定することができるかどうか。

このような考察のもと、以下のような諮問がなされています。

諮問事項8:我々が提案するSMSテストの潜在的なメリットとリスクは何か。それは十分な明確性と柔軟性を提供するか?指定が戦略的地位の評価を含むべきであることに同意するか。

SMSの指定評価

指定が適切かつ正当であることを確かにするために、量的・質的証拠を利用する。市場支配力をの評価における競争法手法と同様である。

SMSの評価については、収益のような特定の指標に対する定量的な閾値に基づく機械論的なアプローチという選択肢を検討したものの、市場シェア、売上高、ユーザー数といった特定の指標に対する定量的な閾値に過度に注目すると、指定審査が十分にニュアンスのあるものにならないことが懸念され、否定された。これは、SMSの指定審査の一環として、規模、スケール、市場シェアの指標が用いられると思われるが、それらで全体像が把握できる可能性は低い。また、例えば、正式な市場定義を必要とするなど、過度に負担のかかるプロセスとなる可能性がある。

実質的な市場支配力と定着した市場支配力の評価

市場支配力の評価は、現行の競争法では一般的な機能である。我々は、企業が実質的な市場支配力を有するかどうかの評価は、CMAがその市場調査や捜査で取っているアプローチに密接に従うべきであることを提案する。関連するデジタル活動については、デジタル市場部門は、製品やサービスの利用者が利用できる代替品の質と範囲、および参入と拡大の可能性を評価することになる。DMUは、この評価のために、企業間の競争上の相互作用、顧客のスイッチングと行動、供給シェアや市場シェア、参入障壁などに関する様々な証拠を用いることになる。

戦略的地位の評価

企業の戦略的地位の評価において、デジタル市場部門は、上記の基準を考慮し、関連する活動において企業の市場支配力の影響が特に広範囲に及ぶか、重要であるかを検討する必要がある。評価は証拠に基づいて行われ、関連する活動に関してこれらの基準がどの程度まで満たされているかを検討する必要がある。

これらの各基準の正確な関連性は、ケースバイケースで異なる。一つの基準だけで十分な場合もあれば、戦略的地位を有すると結論づけるためには、いくつかの基準の組み合わせが必要な場合もある。我々は、DMUが、企業が戦略的地位を有するかどうかについて、根拠ある判断を下すために、「全体的に」証拠を評価することを提案する。しかし、我々は、これらの基準がどのように解釈されるかを明確にすることの重要性を認識している。したがって、DMUは、各基準をどのように評価するかについてガイダンスを示すことを要求されるべきである。

また、戦略的地位の評価は、利害関係者にとって十分に予測可能である必要があると認識している。そこで我々は、「戦略的地位」の定義とデジタル市場部門が戦略的地位評価を行う際に考慮すべき基準を法律で規定することを提案する。このアプローチが予測可能性と柔軟性のバランスを適切にとるかどうか、利害関係者からの意見を歓迎する。

諮問事項9:指定評価が十分な柔軟性、予測可能性、明確性、具体性を提供することをどのように保証するか?戦略的位置の基準は網羅的であり、法律に明記されるべきであることに同意するか?

SMSの指定審査はどのように優先されるのか

デジタル市場部門は、競争懸念のリスクが最も高く、介入の根拠が最も強いデジタル活動に焦点を当てる要因は、以下のとおりである。

  • 会社の収益
  • 活動の特徴
  • セクターの規制当局が懸念される問題に対処するのに適しているかどうか

諮問事項10:デジタル市場部門が、会社の収益 /活動の特徴/セクターの規制当局が懸念される問題に対処するのに適しているかどうかという要因によりSMSの指定評価を優先させることの潜在的な利点とリスクは何か。

SMSの指定プロセス

SMSの指定プロセスについては、

  • 適時性(評価機関を9ケ月とする)
  • 諮問プロセス(公的諮問を必要とする)
  • SMS の地位の申立(SMS の指定は、現在、特定の活動を実施している企業グループの一部だけでなく、企業を形成 する企業グループ全体に適用されるべきであることを提案します。これにより、企業は、企業グループの異なる部分に活動を移すことによって、救済措置を回避することができないことを保証することになる。)
  • 指定の長さ(5年間-審査あり)
  • 企業の意見表明(representations)
  • 不服審査

諮問事項 11:提案されている SMS の指定手続きの利点とリスクは何か?SMS指定の法的期限を9ヶ月とすることの利点とリスクは何か?

4部 執行可能な行動規範(An enforceable code of conduct)

行動規範の必要性

Furman Reviewは、ユーザー(SMS企業の製品とサービスに依存する企業や消費者など)に対するSMS企業の市場地位の影響を管理するための行動規範の必要性を指摘した。また、Cairncross Reviewは、特定の企業がニュース出版社に条件を課すことで、ニュース出版社がコンテンツを収益化する能力を制限する能力に対処するための行動規範を提言した。

昨年、政府は SMS を持つ企業に対して強制力のある行動規範の事例を受け入れた。

行動規範は、SMSを利用する企業がどのように行動することが期待されるかを定めることによって、市場権力の影響を管理することになる。それは、ユーザーとSMSを持つ企業の両方に明確さを提供し、SMS企業の行動に事前に影響を与え、否定的な結果が発生する前に防ぐことを目的としている。

この規範は、企業が SMS に指定されるに至った活動(又は活動)に適用されることになる。

我々は、規範が、ハイレベルの目的と、規範を遵守するために企業に期待される行動を明示する原則とで構成されることを提案する。原則を実施するための様々なオプションがあり、以下に示される。どの選択肢においても、規範は、特定のビジネスモデルにおいてどのように原則が適用され るべきか、会社特有のガイダンスによってサポートされるべきである。

規範の目的

本規範の目的は、SMS事業者の市場支配力の影響を管理することである。消費者や企業を搾取したり、革新的な競争相手を排除するような行為を予見し、防止することで、行動を変えるのに役立つはずです。

  • 市場支配力の強化および保護 – 会社が契約条件や製品のより広範なエコシステムを利用して、他者の競争力を不当に制限している場合。
  • 市場支配力の拡大 – 市場支配力を関連する活動に不当に拡大するために、企業がその指定された活動においてその地位を利用する場合。
  • 搾取的行為 – 例えば、会社が不当または不合理な契約条件を使用する場合、
  • 顧客の選択を不当に制限すること – 例えば、会社がデフォルト設定を不当に使用したり、ユーザーが情報に基づいたオープンな意思決定を行えるよう、不十分な情報を提供する場合など。

目的は、規範の包括的な目的と範囲を規定するものである。

CMAが提案した3つの目的(Fair Trading、Open Choices、Trust and Transparency)は、規範が促進しようとする競争促進的な行動の種類を概説しており、諮問はこれを支持しています。

  • 公正な取引 – ユーザーは公正に扱われ、SMSを使用している企業と合理的な商業条件で取引することができます。これは、搾取的な行為を防止することを目的としています。
  • オープンな選択 – SMSを持つ企業や他の企業が提供するサービスを、ユーザーが自由かつ容易に選択することに障害はない。これは、例えば市場権力の定着、保護、拡大といった排他的な行為を防ぐことを目的としています。
  • 信頼と透明性 – 利用者は、SMS を導入した企業がどのようなサービスを提供しているかを理解し、その企業との関わり方について十分な情報を得た上で意思決定を行うための明確かつ適切な情報を持っています。これは、情報に基づいた効果的な選択を促進することを目的としている。

諮問の質問12:これらの3つの目的は、行動規範が対処すべき行動を正しく特定していますか?

行動規範の原則

法的拘束力のある原則は、目的から導かれ、SMS を有する企業が規範に準拠 するために期待される行動を定義する。

規範の原則は、エビデンスに基づいた的を絞ったものでなければならず、好ましい行動や良好な行動を制限することなく、有害な行動を防止するものでなければならない。また、明確性と一貫性を持たせ、複雑さと利害関係者の負担を最小にする必要がある。さらに、時間と共に急速に進化するデジタル市場に適応するため、イノベーションを弱めることなく、柔軟で将来を見据えたものであるべきである。

タスクフォースは、デジタル市場部門が以下を行うべきであると提案した。(i) 規約の原則を設計、適用、更新する権限を持つこと、(ii) SMSの活動ごとに規約の原則を調整することができるようにすること。また、各コードの原則は、SMSの指定プロセスの一環として、利害関係者の参加を得て策定されるべきであると提案した。Digital Markets Unitは、提案された原則が、少なくとも1つの目的を満たすために有効かつ適切であることを示す必要があり、SMSを行う企業は、これを根拠にDigital Markets Unitの判断に異議を唱えることができるようになる。

行動規範を示すフロー図は、以下のようになる。

この図は、原則の部分をどのような定め方をするかが、諮問事項となっていることを示しています。

このアプローチ(オプション1)は、ある状況では有害な行動が、他の状況では許容され、あるいは望ましくさえあることを認識し、法的拘束力のある義務をSMS会社に合わせて調整することを可能にするものである。原則は、SMS 会社の個々の活動に関連する特定の行動と害に対処するために調整することができ る。また、この原則は、市場の変化に応じてDMUが随時修正していくことも可能である。これによって、規範が効果的かつ適切であることを保証することができる。しかし、このアプローチでは、SMSを行う企業に対して、企業や活動ごとに異なる要件で、より多くの具体的な義務を課すことになる可能性がある。法律で定められた3つのハイレベルな目標が、コードの目的と範囲を定めることになる。

対照的なアプローチ(オプション2)は、すべてのSMS指定企業に対して、一次法の中で単一のハイレベルな原則を規定することである。このアプローチは、利害関係者に一貫性と簡素化をもたらし、EUのデジタル市場法に提案されているアプローチと類似している。Digital Markets Unitの役割は、議会が定めた原則を実施することである。

オプション 2 では、各原則が個々の企業のビジネスモデルに適用されるかどうか、またどのように適用されるかが、あまり明確でない可能性がある。規範を改正するためには、法律を改正することが唯一の方法となる。法律の更新には当然ながら時間がかかり、SMSを導入している企業は不必要な要件を課される可能性がある。そのような場合、DMUは、その施行において裁量権を行使し、法定外のガイダンスを通じて、企業の不確実性を軽減するよう努めることができます。

最後に、(目的だけでなく)ハイレベルの原則を法律で定めるが、必要に応じて、その原則に関連する法的拘束力のある追加的な要件を策定する権限をデジタル・マーケッツ・ユニットに与えることも考えられる(オプション3)。このオプションの下では、補助的な要件は、指定中に収集した証拠を活用して、各SMS活動に固有の害悪に合わせて調整されることになる。このモデルでは、DMUは、策定する法的要件が、立法原則の 1 つに対処する上で効果的かつ適切であることを示す必要があろう。この選択肢は、ドイツが最近行った競争法改正のアプローチと似ているところがある。

このオプションは、SMSの指定を受ける企業に対して、どのような行動が期待されるかをより明確にする一方で、異なるビジネスモデルに合わせたより詳細な行動規範の要件を許容するものです。

我々は、この最終的な選択肢が、異なるビジネスモデルを考慮した柔軟性と、SMSを有する企業にとっての先行的な明確性との間で、適切なバランスを保つものであると確信している。

原則の範囲

デジタル企業は、新しい市場に進出し、競合他社を弱体化させる付随する製品やサービスの「エコシステム」を構築することにより、戦略的地位を確立し、それを活用することができます。我々は、レバレッジが本質的に問題であったり、反競争的であったりするわけではないことを認識している。ある市場で強いポジションを持つ企業は、別の既存企業が市場支配力を持つ隣接市場に対して健全な破壊的な力(healthy disruptive force)を発揮することができる。DMUは、この破壊的な参入の邪魔をしてはならない。

しかし、Digital Markets Unitは、企業がその指定された活動での地位を利用して、ユーザーの長期的な不利益となるような競争を不当に有利に「傾ける(tip)」ことを防ぐことができるはずである。

指定された活動から他の活動への市場支配力の拡大を防止すると同時に、規範は、会社の他の場所でとられた行動が、指定された活動における会社の地位をさらに強固にする (entrench) ために利用されることも防止すべきである。

これを行うために、我々は、ほとんどの原則が指定された活動にのみ適用される一方で、一つの原則が会社全体に適用されることを提案する。この原則は、会社が、指定された活動において会社の地位をさらに強固にするような変更を、その変更が重要な便益をもたらすことが示されない限り、指定されない活動に対して行わないよう求めるものである。オプション2またはオプション3の下で適用され得るこれらの原則の範囲は、以下の図4に示されている。

諮問事項13:コードの形式に関する上記のオプションのうち、特に柔軟性、確実性、比例性の観点から、競争促進体制の目的を最もよく達成するのはどれですか?その理由は?

諮問事項 14:原則2(e)(下記図4参照)を会社全体に適用する提案について、どのように考えますか?明示的なチェックアンドバランスを検討すべきですか?

図 4:原則案
以下の図は、SMS が本コードに準拠するために、会社に期待される行動の種類に対処するために設計さ れた原則案の非網羅的な概観を示しています。

規範の策定と更新

DMUがコードの法的要件を開発または調整する権限を持つ場合、SMSの指定プロセスにおいて、そのために必要な証拠を収集することになる。

時には、技術や市場の発展を反映し、コードの現在の範囲が特定の問題に対処できない、あるいはもはや対処する必要がない場合に対処するために、指定の間にコードの要件を更新する必要があるかもしれません。我々が提案するように(オプション3)、デジタル・マーケッツ・ユニットがコードの法的要件を自ら更新する権限を持つ場合、デジタル・マーケッツ・ユニットはコードを更新する前に利害関係者と協議することを義務付けられるべきである。デジタル市場の動きが速いため、コードの原則を法律で定める場合(選択肢2および3)、時間の経過とともに古くならないよう、二次法を通じて原則を修正できる権限を法律に含めることが必要であると考える。

規範のガイダンス

我々は、DMUnitが、規範の法的要件がどのように企業に適用されるかについての見解を概説するために、SMSを導入している企業に特化したガイダンスを作成する能力を持つべきであることを提案します。ガイダンスには、SMS会社に何が期待されているかを明確にするため、規範に違反する可能性のある具体的な行動例を含めることができる。

ガイダンスはコンプライアンスを助けるものですが、法的な拘束力はなく、会社に行動を変えるよう求めることはできません。

諮問事項15:提案された体制は、Cairncross ReviewやCMAで指摘された主要なプラットフォームとニュース出版社の間の不均衡な関係にどの程度対処するのか?それに加えて、さらなる救済措置が必要ですか?

規範命令

デジタル市場の動きが速く、被害が発生するスピードも速いことから、適切かつ適切な場合には、DMUに対して規範違反に対処するための規範命令と暫定的な規範命令の両方を出す権限を与えることを提案します。

コードオーダーは、コード違反の調査・発見後、SMSを有する会社がコードを遵守するために必要な行動の変更を指定するものである。タスクフォースの助言にあるように、これには、有害な行為の一時停止、全面的な中止、取り消しを要求することができます。例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)へのアクセスを顧客に提供し続けることや、ユーザー間の差別に関する懸念に対処するためにAPIの異なる顧客グループへの利用可能性を変更することなどがあります。我々は、規約違反の調査に法定期限を設けることを検討しており、タスクフォースの提案する6ヶ月という期限を考慮し、適切な長さを検討する予定である。

暫定的な規範命令は、不可逆的な変化が起こる前に DMUが介入することを可能にし、競争条件を回復するためのオプションが維持されることを保証するだろう。

暫定的な規範命令は、直ちに害を及ぼす可能性のあるコード違反に対処するために、コードオーダーよりも迅速に導入することができますが、行動の一時停止や取り消しにのみ限定されるでしょう。私たちの見解は、DMUは、以下の場合に暫定的なコードオーダーを導入する権限を持つべきということです。

  • コード違反が疑われる理由があり、かつ
  • 暫定的に行動することが適切である場合。
    1. 特定の個人または個人のカテゴリーに対する重大な損害を防止するため。
    2. その後の強制措置に照らして、是正措置の効果を制限または軽減するような行為を防止するため。
    3. 公益を保護するため

Digital Markets Unit は、コード命令やコンプライアンス違反の事例への対応など、コードを執行するための権限を必要とします。提案されている権限については、第 6 部で詳しく説明する。

諮問事項16:暫定的なコード・オーダーの適切な利用をどのように確保できるか?

第5部:競争促進的な介入 (Pro-competitive intervention, PCI)

競争促進的な介入(PCI)の理論的根拠

諮問においては、競争促進的な介入(Pro-competitive intervention, PCI)が提案されています。PCIは、市場をより大きな競争に開放することを目的とした措置と定義されています。

PCIは、デジタル市場における実質的な市場支配力の根源的な原因に対処するために設計されている。効果的に利用することで、デジタル市場にダイナミックで競争的な変化を促し、イノベーションと経済成長の機会を創出することができます。オンラインプラットフォームとデジタル広告に関するCMAの市場調査への回答で、政府はDMUにPCIを実施する権限を与えることに原則合意しています。

第1部  序では、デジタル市場における効果的な競争を損ない、消費者と社会にとって悪い結果をもたらす可能性のある特徴の組み合わせを示した。これらの特徴の多くはそれ自体には問題がないものの、それらが一緒になるとデジタル市場への参入や拡大の障壁となり、新規参入者が市場にイノベーションをもたらすことを妨げることになります。

DMUは、SMS企業の市場権力の源泉と効果に取り組むために、的を絞った証拠に基づく調査の後、PCIを実施する力を必要とするだろう。これには、相互運用性、第三者によるデータへのアクセス、または特定の分離措置を義務付けることによって、ネットワーク効果や参入/拡大の障壁を克服するための措置が含まれる可能性があります。また、データに対する消費者の管理を強化する措置も含まれる可能性がある。これらの措置は、競争の弱さをもたらすデジタル市場特有の特性に対処することで、デジタル市場の構造を根本的に変える可能性があります。

競争促進的な介入と規範の両方の必要性

PCIは、政府の成長とイノベーションの目標を達成するために、行動規範と同時に必要とされます。

強制力のある行動規範は、事前に「ゲームのルール」を定めることで、SMSを持つ企業の戦略的な市場ポジションから生じるかもしれない害を防ごうとするものです。対照的に、PCIは、デジタル市場部門が、企業の実質的で定着した市場支配力の根本原因に対処する措置を実施することを可能にします。これらの措置は、デジタル市場の構造を積極的に変化させ、より大きな競争を促進する可能性を持っています。

例えば、現在想定されている行動規範では、第三者による重要なデータへのアクセスを突然制限したSMS会社に対する是正措置は可能ですが、重要な新しい相互運用性の導入を積極的に要求するために使用することはできません。同様に、SMS会社が自社のサービスを不当に優遇しないよう規約で定めることができますが、そのような優遇の根本的な動機を取り除くために機能分離の是正が必要だと考えられる場合は、PCIが必要となるでしょう。

新しい事前規制の一環としてのPCIの必要性

CMAは既に市場調査プロセスを通じて競争を促進するための介入を実施する権限を有しており、これは国際的に確立され尊重されています。

しかし、これらの既存のツールは単発の介入のために設計されており、デジタル市場における強固にされた(entrenched)市場支配力への取り組みには適していません。市場の特性から、競争問題は長期にわたって持続すると予想され、継続的かつ積極的な監視が必要です。

既存の市場調査プロセスとは対照的に、我々はDMUが段階的、比例的かつ首尾一貫した方法で救済策を実施する柔軟性を持つべきであると提案します。例えば、デジタル市場部門は、競争への悪影響に対処するために必要な場合、より介入的な救済措置を実施する前に、小規模な介入を行い、その効果を検討することから始めるでしょう。適切な手続き上のセーフガードに従い、デジタル市場部門は、救済措置が長期的に目的に適うよう監視、見直し、修正します。

さらに、PCIは、企業特有のレンズを通して、指定された活動に関する競争上の懸念を調査することに重点を置いている。市場調査プロセスとは対照的に,DMUは、企業がSMSで指定された活動を既に詳細に理解していることになる。これにより、DMUはPCI調査を開始する際、より高度な知識ベースを得ることができます。このアプローチは、より迅速で的を絞ったプロセスを提供するだけでなく、デジタル市場部門は、SMS企業がその市場力を活用できる複数の市場にまたがるエコシステムに関連する懸念に対処することが可能になります。

最後に、デジタルマーケットユニットはPCIを設計する際、その専門的な知識とリソースを活用します。Digital Markets Unitは、利害関係者を巻き込み、規範を含む他の規制活動と並行して、一貫した方法でPCIに関する決定を検討することになります。

PCI の設計と適用

デジタルマーケッツユニットが利用可能な PCI の救済措置の範囲

デジタルマーケッツユニットは PCI の設計と実施において広範な裁量権を持つべきです。これにより、デジタルマーケティング部門は、特定された被害に対処するための最も効果的な救済措置を、それが比例的かつ実行可能である場合に限り、実施できることを保証することになります。また、デジタルマーケットユニットは、新しく発展するデジタル市場や技術における害悪に迅速に対応することができるようになるであろう。我々は、デジタル市場部門に、市場調査後に広範なCMAが持つのと同程度の、広範な競争的救済を実施する裁量を与えることを提案する。

所有権の分離を含む特定の介入をデジタル市場部門のツールキットから除外すべきかどうかについては、我々はまだ見解を固めていない。

この「広範な裁量」モデルの下で、デジタル市場部門は、検討する可能性のある PCI の種類と、それらが使用される状況についての一般的なガイダンスを提供する必要があります。救済措置が証拠に基づき、対象が絞られ、比例し、適切な法的セーフガードに従うことを保証するために、公正で堅牢なプロセスが必要です。これらの保護措置は、「第6部:規制の枠組み」の「手続きの公正さ」のセクションに記載されている。

代替的なアプローチとしては、デジタル・マーケット・ユニットを法律で特定の救済措置のリストに拘束し、二次法を通じてこのリストに追加するというオプションをかんがえることができます。このアプローチはタスクフォースによって拒否され、我々の見解では、デジタル市場の広がりとその進化のペースを考慮していません。市場調査後の既存の CMA の権限でカバーされる幅広い範囲とは対照的に、デジタル市場部門を法律で特定の救済措置の狭いリストに拘束することは  、その機動性と個々のケースに最適な行動を取る能力を損ない、そのツールキットはすぐに時代遅れになりかねません。

タスクフォースは、その助言の中で、デジタル市場部門に所有権の分離(資産や技術の売却や譲渡を含む)を課す権限を与えるべきではないとし、この権限は市場調査の付託を受けたCMAに留保されるべきであると提言しています。我々は、この救済策やその他の救済策をデジタル市場部門のツールキットから除外すべきかどうかについての意見を歓迎します。

法的テスト

我々は、Digital Markets Unit が PCI を実施するためには、競争に対する悪影響 (AEC-adverse effect on Competition )’ が存在することを証明する必要があることを提案する。これは、既存の市場調査制度における法的テストに沿ったものです。

タスクフォースは、AECテストに「消費者」を追加してAECCテストを作り、デジタル市場部門が、競争が損なわれたことを常に示す必要なく消費者被害に対処できるようにすることを提言しました。諮問は、既存の「AEC」テストは、競争のレンズを通してではあるが、消費者への害を包含するように広範に解釈することが可能であり、すでにそうすべきであるという見解を持っている。これにより、デジタル市場部門は、消費者が自分のデータについてより多くの選択肢とコントロールを得られるよう介入し、消費者の利益のために競争的な結果を追求することができるはずである。したがって、現行のテストは、競争を促進することによって消費者の利益を促進するという Digital Markets Unit の目的に合致している。

諮問事項 17:Digital Markets Unit が利用できる PCI の救済措置はどのような範囲にすべきか?手続き上の公平性をどのように確保するか。

諮問事項 18: PCI 調査のための競争に対する悪影響(AEC)テストは、デジタルマーケッ トユニットがその目的を達成するためにどの程度まで十分か?

柔軟性

Digital Markets Unit は、SMS を使用している企業内の持続的かつ発展的な競争問題に対処するために、介入が効果的であり続けることを保証する必要があります。PCIは、動きの速いダイナミックなデジタル市場に対応するために、機敏で柔軟である必要がある。

したがって、我々は、Digital Markets Unitに以下の権限を与えることを提案する。

  • PCI の救済措置を監視、レビュー、修正する – これにより、PCI の救済措置がその意図する目的を満たす上で可能な限り効果的であることを保証する。PCI の救済措置は、状況の変化に加え、効果がない、またはもはや適切でないという理由で見直すことができるようにすべきである。

Digital Markets Unit が自ら見直しを開始することもできますし、SMS 企業や影響を受ける第三者から見直しが要求されることもあり得ます。PCI執行命令は、Digital Markets Unitが決定する一定期間適用され、その期間終了後に見直され、残留するか、削除または修正される必要があります。この一定期間によって、それ以前に見直しが行われなかった場合でも、時間の経過とともに市場が発展する中で、救済措置が最新かつ適切なものに保たれることが保証される。

  • 救済措置を強化するとともに、緩和・終了させる
  • 最終的な PCI 命令を実施する前に、改善策を試行する
  • 自主的・執行可能な仕組みを受諾する
  • PCIを施行するための指示権限を使用する。(2002年企業法のCMAや2003年通信法のOfcomが与えたものと同様)

この柔軟性は、プロセスが公正かつ堅牢であることを保証するために設けられるべき、適切な手続き上のセーフガードを犠牲にして得られるものではありません。試行、約束、および修正は、第 6 部に規定されているように、デュープロセスに従うものとします。

迅速な介入

デジタル市場部門は、市場支配力が急速に強化されるデジタル市場における競争懸念に迅速に対応する必要がある。既存の競争制度における詳細な市場調査は18ヶ月以内に高い水準で完了し、デジタル市場部門はSMSの指定プロセスや行動規範の監督で専門性を高めているので、単一の企業に対するPCI調査はより短い期間で達成可能であるはずである。

タスクフォースは PCI 調査の法定期限を 12 ヶ月とすることを提案しています。我々は、確固たる証拠に基づく意思決定の要件と、競争上の懸念に迅速に対処する必要性との間でバラン スを取る必要があり、法定期限を設けることに同意する。この協議では、調査期間の適切な期間について、より短い期限(例えば、9ヶ月、特に複雑な救済措置の場合は任意で3ヶ月延長)が適切かどうかも含めて意見を求めている。

標的型介入

デジタル企業は、付随する製品やサービスの「エコシステム」を構築することで戦略的地位を確立し、それを活用することで、新しい市場に進出し、競合他社を弱体化させることができる。レバレッジが反競争的効果をもたらす場合、デジタル市場部門は、市場権力の拡大やさらなる定着に対処するために、指定された活動の外で PCI を実施する力を必要とすることになる。したがって、デジタルマーケティング部は、介入が指定された活動における懸念に関連するものであれば、SMS企業内のどこでもPCIを実施することができるはずです。例えば、SMS会社が、デフォルトで消費者を会社の指定活動(例えば、オンラインマーケットプレイス)に誘導する音声アシスタントを運営している場合、これはその会社の指定活動における市場支配力を強化する可能性が高い。。

諮問事項 19:上記のような状況において、デジタル市場部門に指定活動以外の PCI を実施する権限を 与えることに関連する便益とリスクはどのようなものか。

諮問事項 20:提案されている上記の柔軟性メカニズムはどの程度適切か。また、それに伴うリスクはあるか。

諮問事項 21: PCI 調査のための適切な法定期限は何か?

第6部 規制枠組(Regulatory framework)

執行メカニズム(Enforcement mechanisms)

正式な権限の行使とともに参加的なアプローチを組み合わせて、この体制への遵守を確かにする。これは、アドバイスと非公式の従事を通じて問題を解決する解決するものである。DMUは、樹種の調査のあめローチと規制要件の執行とのガイダンスを明らかにすべきである。

金銭的罰則

行動規範違反やPCI命令違反に対して、金銭的制裁をなしうるようにすべきである。なお、この場合、上限をさだめることが提案されている。

その他の執行メカニズムとして考察されているものとしては、以下のとおり

  • 裁判所命令
  • 上級職員責任

国際的執行

国際的な影響があることから、海外に所在する証拠についてもDMUが証拠を収集し、また、海外の行為に対しても、英国と十分に連結(connection)があれば、捜査し、執行しうるようにすべきとしています。

諮問事項 22: 国内外で発生する行為に対して最も効果的に調査・執行するために、DMUはどのような権限と仕組みを必要としますか?

監視と情報収集

Digital Markets Unit は、複雑で、証拠が公開されていないような問題を調査することになる。優先順位をつけ、将来のSMS指定評価を行うため、また法的要件の遵守を監視し、潜在的な違反を調査するために、必要な情報へのアクセスが必要となる。さらに、Digital Markets Unit は、特定の慣行や行動が有害であるかどうか、有害である場合はどのような手段で対処するのが最も適切かを決定する前に、証拠を収集する必要がある場合がある。

これは、SMSの指定を受けていない企業も含め、幅広い情報源から情報を引き出す必要があることを意味する。したがって、我々はDigital Markets Unitに、効果的で証拠に基づく決定を行うために必要な情報を収集するために必要な権限を与えようと考えている。

我々は、Digital Markets Unitの情報収集の権限は、OfcomやCMAが利用できるものと同様であるべきだと提案する。具体的には、タスクフォースは、これらの権限には以下のようなものが含まれるべきであると助言している。

  • データ、内部文書、説明文書などの情報の提出を要求する。
  • インタビューを通じて質問に答えるために人の出席を要求すること 。
  • 施設から入手可能な情報のために施設を検査し、捜索すること、
  • 証拠収集の強制 A/Bテストの結果、アルゴリズムの「バージョン管理」、自社の行為に関連する情報などの収集、作成、保存を企業に要求すること。

情報収集権の行使は、比例的で的を絞ったものでなければならず、手続き上のセーフガードに従わなければならない。Digital Markets Unit は、その機能を効果的に遂行するために必要な範囲でのみ法定情報収集 権を使用すべきであり、すべての法定情報要求の目的を明示することを義務付けるべきであ る。

DMUがその機能を発揮する上で情報収集の権限は重要であることから、我々はDMUに情報要求の不遵守に対して罰則を課す権限を与えるための立法を行う予定である。我々は、Digital Markets Unitに以下を課す権限を与えることを提案する。

完全な情報を提供しなかった場合、その事業者の前会計年度の世界売上高の1%を上限とする罰則。
情報提供を継続的に怠った場合、1日当たりの平均世界売上高の5%を上限とし、デジタル・マーケッツ・ユニットがそのような罰則を課す意図を被通知者に通知した日から日割りで計算した罰則。上記の罰則の最高水準は、欧州委員会のデジタル市場法(Digital Markets Act)案にあるものと一致している。
これらは罰則の最大レベルを示すことになる。デジタルマーケッツユニットがコンプライアンス違反のすべてのケースでペナルティを課すことは適切でない場合があり、デジタルマーケッツユニットが課すペナルティのレベルは比例している必要がある。

諮問事項 23:Digital Markets Unit がその機能を効果的に遂行するために、どのような情報収集権 が必要か。

手続的公平性

効率的・効果的な規制のためには、比例性・透明性・説明可能性が重要であるとしている。

諮問事項 24:この制度が適切であり、説明責任を果たし、透明であることを保証するために、政府がさらに検討すべきことはあるか?

不服申立

特に、政府は、裁判所が行使する監視と権限によって、以下のことが確保されるべきであると考えている。

  • 不服申し立ての枠組みは、事業者の権利を尊重し、意思決定プロセスの効果的な監視を提供する。
  • 裁判所は、デジタル市場局の権限と目的の行使における判断と裁量について、しっかりとした品質保証を提供する。
  • 裁判所は、技術的な判断や専門的な知識に関する事項については、専門家である規制当局の決定に適切な敬意を払う。
  • SMSを導入している企業に適用される競争促進体制は、効率的に機能し、事件の最終解決までの遅延を最小限に抑え、最終的にはデジタル市場における競争の欠如から生じる害悪に対処する。

タスクフォースは、デジタル市場部門の決定は、通常の司法審査の原則に基づき、司法審査可能であるべきとしており、されている。司法審査は一般に、裁判所が公的機関の決定を審査し、その決定が合法であったかどうかを判断するものである。司法審査の焦点は、公的機関がその決定を下すにあたり、権限の範囲内で行動したか、適切な理由を適用したか、正当な手続きを踏んだかどうかであり、控訴機関が新たに審理をやり直すというものではない。

この提案の根拠は、より焦点を絞った上訴プロセスを可能にすることで、より合理的なアプローチを実現し、確固たる結果を迅速に提供することを支援するというものでした。この助言は、裁判所や専門家法廷による司法審査基準の適用が、専門家である規制当局の適切なレベルの裁量を行政機関に認める一方で、決定に対する詳細な精査を行うことを強調した。

このアプローチは、他の事前規制[footnote 80]や合併管理・市場調査制度[footnote 81]で採用されているアプローチと一致し、この制度を通じて、新しい競争促進制度に提案されているものと同等の救済措置が実施されることになるでしょう。

政府は、専門規制機関であるDMUが、新しいデジタル市場体制を形成するために、その専門知識と判断を行使する裁量が必要であることを認識している。DMUは、確実性を提供し、デジタル市場の変化に対応するために、迅速に行動できなければならない。しかし、DMUの決定が適切なレベルの司法監視の対象となることも重要である。

したがって、我々は、デジタル市場部門の決定を司法審査の原則に則って審査することが適切であるとのタスクフォースの意見に同意するつもりである。我々は、司法審査の基準により、専門的な規制当局としての Digital Markets Unit の立場に適切な敬意が払われ、また上訴プロセスが可能な限り迅速に行われることが保証されると考えている。また、規制当局の決定に関して最も一般的に適用されているアプローチでもある。

状況によっては、デジタル・マーケッツ・ユニットが行った決定のプロセスの合法性、合理性、公正性を審査するだけではなく、さらに踏み込んだ審査が裁判所にとって適切または必要である場合もある。[脚注 82】。]

これは、新体制の一部として提案されているような、多額の金銭的ペナルティを課す決定に対する控訴の場合であると思われる。このような場合、裁判所は当該事件のメリットを考慮し、事実と法律の問題でデジタル・マーケッツ・ユニットの決定を取り消すことができるだろう。政府は、Digital Markets Unit の全範囲の決定に対する適切な上訴基準についてまだ確固とした見解に至っておらず、説明責任、機動性、有効性のバランスを確保するために最も効果的な上訴基準についての意見を歓迎する。

諮問事項25:デジタル市場部門の決定に対する上訴には、どのような審査基準を適用すべきか?

不服申し立ての場

DMUの決定に対する不服申し立てには、競争上訴法廷が適切な場であると考える。競争審判所は、積極的な事件処理の実績があり、法律、経済、ビジネスの分野横断的な専門性を持つ専門的な司法機関である。そのため、複雑な問題を迅速に、しっかりと検討し、制度とその参加者に確実性を提供するのに適した場所である。このことは、予測可能性を確保し、英国への投資とイノベーションを継続するために極めて重要であると考える。

停止なき服申し立て(Non-suspensory appeals)

DMUの決定に対する不服申立ては、その決定や関連する救済措置の遵守要求 を自動的に停止する効果を持つべきではない。不服申立ては、規制の確実性を向上させ、決定の対象となった企業だけでなく、結果として行動を適応させる必要があるより広い市場参加者にとっても重要である。また、一時的な不服申立ては、救済措置の実施を遅らせる手段を提供し、不服申立てをするインセンティブを高める可能性がある。しかし、SMS会社が、その決定が誤りであり、控訴の決定中にその事業に回復不可能な損害をもたらすと考える場合、裁判所に暫定的な救済を求める権利を有するべきである。

罰則の停止は、Digital Markets Unitが懸念事項を是正する能力に影響を与えない。そのため、不服申立ての非懸念性の例外とすることは、この制度にとって不利になることはないだろう。したがって、執行決定に対する不服申立ては、金融ペナルティの支払い要件の自動的な停止を意味することが適切であろう。

このアプローチは、1998 年競争法の事例で採用されたアプローチと一致する。この事例では、上訴は、 違反を是正する CMA の指示を停止しないが、上訴の決定があるまで罰金の支払い義務を停止することになる。[脚注 83] 。

救済措置

DMUは、SMS制度を通じて課された義務違反の結果、損害が生じたことを確認した場合、迅速に行動を起こすべきである。しかし、場合によっては、Digital Markets Unitが行動を起こす前に損害が発生することがあり、その場合、救済が必要となることがある。考えられるメカニズムとしては、デジタル・マーケット・ユニットに救済を要求する権限を与えるか、損害賠償のための私的な訴訟を起こすかである。

我々は、最初の焦点はDMUが主導する公的な執行であるべきだというタスクフォースの見解に賛成である。これは、DMUが、安定した、焦点を絞った、的を射た制度を構築するために、初期の段階でこの制度を管理し、舵取りをする能力を支援するものである。我々は、DMUに、SMSを使用している企業に救済を求める権限を与えることの利点と、適切な救済レベルの定量化など、関連する様々な複雑さを検討している。

我々は、個人が私法上の訴訟を起こす権利を停止したり抑制したりすることを提案しているわけではありませんが、この制度が私的な事後請求を優先させることは意図していません。これは、最初の焦点が公的な執行に置かれることを確実にするためです。しかし、我々は、いったん体制が整えば、追訴を合理化する政策が、企業に対する侵害のコストを引き上げることによって抑止力を高め、損害を受けた当事者に救済を与えることによって、公的エンフォースメントの効果を補完しうることを認識している。また、このような政策は、事件処理の分担により、公的なエンフォースメントシステムを支援する可能性もある。

デジタルマーケッツユニットが民間の追訴を促進できるようにするかどうかは、立法後の精査(通常、勅許後3~5年)または最初の指定期間の終了時に再検討されるものと思われます。

諮問事項26:デジタル市場部門にSMSで企業に救済を要求する権限を与えることの利点とリスクは何か?

第7部:SMSの合併改革

介入の論理的根拠

政府は、SMSを有する企業による合併活動の可視化と評価が適切に行われることを確保したいと考えている。適切な制度は、競争を促進し、イノベーションを促進し、消費者と企業を反競争的行為から保護する。

世界中の政府や規制当局は、合併・買収(M&A)を頻繁に行う少数のデジタル企業への力の集中にどう対処するかを検討し始めている。こうした強力な企業が関与する合併は、競合企業の出現を困難にし、中小企業のインセンティブを変化させるなど、競争に対して特に大きな経済的影響を与える可能性がある。

例えば、多くの新興企業(およびその初期投資家)は、大規模なデジタル企業による買収や資金提供を受けることを望んでいる。新興企業が市場で他社に対抗できる規模に成長するためには、このような展望が重要である場合がある。また、大手デジタル企業による投資活動は、新興企業の市場参入を促し、消費者の選択肢を増やすことにもつながる。政府は、大規模なデジタル企業がビジネス・エコシステムにおいて重要な役割を果たしていることを認識している。

しかし、このような活動は、消費者にとって有益な破壊的イノベーションの開発を阻害し、逆インセンティブを生み出す可能性もある。その代わりに、多くの新興企業は、潜在的な変革的イノベーションを通じて競争しようとするのではなく、大手デジタル企業を補完するような製品にアプローチを向けている。

M&Aは、デジタル企業の市場での地位を強固にし、起業家にとっての参入障壁を高め、競争を低下させることにもなる。

最大手のデジタル企業は、過去5年間で、合わせて300社近くを買収している。

合併の数が多いにもかかわらず、競争当局によるこれらの買収の精査は世界的に限られている。過去5年間でCMAや欧州委員会によって審査されたのはわずか7件であり、現在までに阻止されたものはない。このような広範なM&A活動が競争に負の影響を及ぼしているという複数の専門家による報告書の証拠があるにもかかわらず、である。

我々は、大規模なデジタル企業によって行われるいくつかの合併が、全体的なイノベーションのレベルを低下させる可能性があることを懸念している。これには、革新的な企業が買収され、買収企業によって閉鎖される場合、、あるいは買収企業が自らのイノベーション活動への投資を革新的な企業の買収への支出に置き換える場合、が含まれる。

このような状況は、イノベーションの正味の喪失をもたらす可能性がある。これは、消費者が、より質の高い新しい製品やサービス、より低いコスト、より大きな選択肢から得られる潜在的な利益を失うことを意味する。

ファーマン・レビューとタスクフォースは共に、英国の合併制度の変更を提言している。

2020年3月、政府は、CMAは消費者の福祉を害する可能性のある合併に異議を唱えるために、より頻繁かつ強固な行動を取るべきであるというFurman Reviewの勧告を受け入れた。我々の見解では、最も強力なデジタル企業に関連する特定の競争上の懸念は、これらの企業に対する個別の規則の導入に値する可能性がある。

政府は、比例したアプローチの必要性に留意している。企業の規制負担を最小限にし、投資やイノベーションを意図せず抑制することを制限する必要がある。いかなる変更も、制度が効率的であることを保証し、規制プロセスを遅らせることがあってはならない。これは、英国の広範な合併規制体制を含む、より広範な消費者と競争の改革を定めた我々のコンサルテーション「競争と消費者政策の改革」でとられたアプローチと一致するものである。

現行の合併制度に変更が必要とされる理由

英国の現行の合併制度では、合併の届出は任意である。 CMAは以下の場合に合併を審査する権限を有する。

2つの企業が「別個の存在でなくなる」場合。

もしくは、

1. 対象企業の英国での売上高が7000万ポンドを超える場合、または、
2. 合併の結果、被合併企業が英国においてある種の財又はサービスの25%以上を供給又は取得することになり、合併の結果、この「供給シェア」に増分があること。

のどちらかである。

CMAのプロセスには2つの段階がある。第一段階(フェーズ1)は、合併が競争の実質的な減少につながる「現実的な見通し」を持っているかどうかを評価するための短期間の審査である。この閾値を満たした場合、第二段階が開始される(第二段階)。

第2段階の調査の目的は、合併が競争の実質的な減少をもたらしたか、または「もたらさない可能性よりも高い」ものであるかを評価することである。

このプロセスは概ね目的に適っていると考えられているが、大規模なデジタル企業がデジタル市場においてその市場力を定着させることを許してしまったかもしれないいくつかの限界がある。これらについては、以下のセクションで議論する。

CMAは、ファーマン・レビューがデジタル市場における合併評価の「リセット」を求めて以来、デジタル企業を含む合併の監視を強化している。また、最近のデジタル事例からの学びを反映した最新の合併評価ガイドラインを策定している。

しかし、基礎となる法律が変わっておらず、20年前に書かれたものであることを考えると、これらの最近の変化がSMSを持つ企業を含む合併のための効果的な合併管理を保証することは明らかではない。

提案された変更点

我々は、特注の合併制度がCMAによって管理され、提案はSMSを持つ指定された会社にのみ適用されることを想定している。現在検討されているSMS合併案は、SMSを持つ企業による合併を精査し、消費者を潜在的被害から守るために必要であれば介入する範囲をCMAに拡大するものである。提案されている措置を図示すると以下のようになる。

具体的には、以下の通りである。

  • SMS指定企業に対して、すべての合併をCMAに報告する新たな報告義務を課す。
  • CMAがSMS合併を審査するための、より広範で明確な管轄権を導入すること。

1. 取引金額の閾値、および
2. 英国との関連性テスト

  • SMSを有する企業による最大規模の取引のうち、完了前に強制的な合併審査を受ける可能性のあるサブセット、及び
  • フェーズ2の調査で使用される確率の閾値を修正することにより、CMAが合併に介入できる閾値を変更する。

SMSを導入している企業に対する「事前通知」の報告義務化

歴史的に、最大のデジタル企業は、通常、取引についてCMAに通知していない。これは、これらの合併に関連する情報を積極的に求めなければならないCMAの負担となる。また、特定の取引が管轄権テストに合致し、審査を受けることができるかどうかの評価も遅れることになる。

Furman Reviewは、SMSを持つ企業は、意図されたすべての買収をCMAに知らせることを要求されるべきであると提案した。タスクフォースは、CMAに基本情報を提供する簡単な書式によってこれを実現することを提案した。これは、SMSを持つ会社が関与する合併の透明性を高め、自動的に合併審査を引き起こす合併通知よりも負担が軽くなる。

我々は、SMSを持つ会社によるすべての差し迫った合併活動に関する「事前通知」報告義務を導入することを念頭に置いている。SMSを持つ会社は、取引の完了前にCMAに報告書を送らなければならなくなる[脚注101]。

これによってCMAは、取引が完了する前に、その取引を調査するかどうかを決定するための短い時間を得ることができるだろう。我々は、取引完了後短期間で報告することも可能かどうかを検討しており、この点に関する意見に関心がある。

諮問事項27:SMSを有する会社によるすべての取引に「事前」報告義務を導入することの利点とリスクは何か?

SMS合併を管轄するための取引額閾値の導入

CMAは現在、既存の管轄テストのいずれかを満たさない限り、潜在的に有害な取引を審査する能力を有していない(パラグラフ170参照)。現行の規則で除外される可能性のあるシナリオは以下の通り。

  • 市場が発展し規模が拡大する前に戦略的価値を持つ企業や、拡大しつつあるがまだ収益化されていない企業の買収。このようなタイプの合併は、売上高テストや供給シェアテストのいずれにも該当しない可能性がある。
  • ターゲットと買収者の関係が純粋に垂直的である場合、または純粋に関連市場である場合の合併は、供給される財やサービスの性質によっては、share of supplyテストでは捉えられない場合があります。これには、以下のようなものがあります。

1. 関連市場における企業の買収で、企業がサプライチェーンの複数のレベルに存在するようになり、利益相反や自己優先を生じさせ、また、サプライチェーン全体で活動することにより競合他社を排除する能力を有する場合。
2. 企業が大規模な「エコシステム」を構築し、新たな顧客やデータを獲得し、「堀」を形成することで自社の中核的サービスを競争から遮断することを支援するための、隣接市場や補完的市場における企業の買収。

デジタル関連では、現行の管轄権テストは、CMAに、競争に大きな損害を与える可能性のある新しいビジネスモデルや革新的なビジネスモデルを含む一部の合併を審査する管轄権を与えていない。

こうした限界に対処するために、我々は、SMSを持つ企業が関与する合併を審査するCMAの管轄権を拡大することを提案する。これは、これらの企業が関与する合併に取引額の閾値を導入することで達成できるだろう。

この変更の効果は、そうでなければ売上高や供給シェアテストを満たさないかもしれない競争上重要な合併(高い取引額を持つことによって示される)を捕捉することであろう。比例性と管轄権を確保するために、合併は、「UKネクサス・テスト」を通じて確立される、英国に重大な影響を与えることも必要となるであろう。

取引額の閾値は、企業とCMAが合併がSMS合併制度の下での審査の対象となるかどうかを評価するための、明確で客観的な閾値を提供することになる。

審査のための閾値は、より大規模で競争上重要な買収のみが審査の対象となるような水準に設定されるべきである。2016年から2020年にかけての最大手デジタル企業による取引を対象とした指標的な分析によれば、取引額の閾値を1億ポンドまたは2億ポンドに設定すれば、50%から70%の取引が自動的に改正後の管轄閾値から排除される可能性が高い。

英国のネクサス・テストの適用により、この数はさらに減少するだろう。1億ポンドや2億ポンドの取引額基準は、国際的に使われているものと類似しており、重要な取引を捕捉することと、競争上の懸念を生じにくい取引を除外することの間で妥当なバランスがとれているように思われる。我々は、これらの検討事項のバランスを取り、法的な明確さを提供するために、取引額の閾値とそれに付随する英国のネクサス・テストをどのように設計することができるか、関係者の意見を歓迎する。

諮問事項28:SMSに指定された企業に対して、’UK nexus’テストと組み合わせた取引額閾値を導入することの利点とリスクは何か?

SMS取引のサブセットに対する強制的な合併審査の導入

タスクフォースは、SMSを持つ企業による合併のサブセットを強制合併審査の対象とし、CMAによる審査を受けるまで取引の完了を禁止することを提案した。この要件は、取引額の閾値を満たし、「UK nexus test」(脚注103で説明)を満たす最大のSMS取引のサブセットにのみ適用されることになる。この強制的な合併審査の閾値は、提案されている管轄の閾値よりも高い水準に設定されることになる。

特定の合併を完了する前に審査することを義務付けることで、CMAは統合が行われる前に競争上の問題が特定されるようにすることができる。企業が統合した後に合併を取り消したり、救済措置を講じたりすることは、特に統合が迅速に達成されるデジタル市場では困難である場合がある。CMAの審査前に統合を阻止しようとするCMAの現在の暫定措置の発動プロセスは、CMAと合併企業の双方にとって資源集約的で時間のかかるものである可能性がある。

最大規模のSMSの合併に対する強制的な合併審査は、ケースの実質を評価するために資源を再優先させることができる。また、競争上の懸念が見つかった場合、CMAが完了した合併を破棄するよう要求することによる事業の混乱のリスクも取り除くことができるだろう。SMSを持つ企業にとって、このアプローチは、いつ合併審査を受ける必要があるかという法的確実性を提供することもできる。

しかし、強制的な合併審査の要件を導入することは、企業に追加的なコストを課し、CMAのプロセスをより負担の重いものにする可能性がある。合併が強制審査の閾値を満たす場合、CMAは合併当事者に、提案されている報告要件以上の追加情報を要求することになる。また、CMAが競争上の問題があると考えるかどうかにかかわらず、最初の第1段階の調査も必要となる。この負担を軽減するための一つの選択肢は、明らかに競争上の懸念を生じない買収については、ファストトラック制度を導入することである。

我々は、SMSを有する企業が関与する最大の取引について強制的な合併審査を課すことにメリットを感じる一方で、これが企業に課すかもしれないリソースに対する追加的な負担も認識している。もう一つの選択肢は、SMS合併制度が(既存の合併制度と同様に)純粋に任意制度として運用され、CMAが管轄権テストに合致する合併を審査のために「呼び出す」権限を持つというものである。

政府の決定を支援するために、我々は、SMSを持つ企業が関与する最大規模の取引の一部に対する新しい強制的な合併審査プロセスの比例性と潜在的な負担に関する意見と証拠を歓迎する。

諮問事項29:SMSを有する企業が関与する最大規模の取引の一部について、強制的な合併審査 を導入することの利点とリスクは何か?

実質的なテストへの変更

規制当局が競争の実質的な低下を予期して行動しようとする場合、事前規制では証拠を集めるのが難しい場合がある。デジタル市場は、他の市場よりも動きが早く、予測しにくいので、これはさらに難しいかもしれません。この問題-潜在的に大きな、しかし不確実な損害-は、SMSを持つ企業が関与する合併において特に深刻であるかもしれない。なぜなら、これらの企業が従事している活動の規模と重要性、既存の定着した市場パワー、買収する多くの若い、初期段階のビジネスがあるためである。

こうした課題は、CMAが、損害が生じる可能性が「ないより高い」(第二段階の詳細な審査に用いられる現行の確率の閾値)ことを証明することを困難にし、SMSを有する企業が関与する合併に介入する能力に影響を与える可能性がある。その結果、現在の閾値では、競争に有害な可能性があるにもかかわらず、ほぼ確実に認可される合併がある。このことは、英国や国際的な主要デジタル企業が関与する大規模な合併への介入が歴史的に欠如していることからも明らかである。

合併なしでのインスタグラムの成功は、消費者に大きな利益を生み出し、フェイスブックが強力な凝集力を持つソーシャルメディアとデジタル広告において、フェイスブックに真の競争を提供した可能性があります。SMSの合併制度を導入する今回の改正により、CMAが同様の買収に介入し、消費者が効果的な競争から利益を得ることができるようになると期待されています。

ファーマン・レビューは、合併案件においてCMAが「損害のバランス」アプローチを用いることができるよう、法改正を行うべきであると勧告しています。これは、損害発生の可能性に加えて、潜在的な損害の規模を考慮するものである。タスクフォースは、現在の英国の合併規制で使用されている競争の大幅な低下テストを維持することを提案した。しかし、CMAが2回目の詳細な審査段階の一部として介入できる可能性の閾値を下げることを提案した。それは、現行の合併制度の第1段階で要求される証明基準と同様に、競争の実質的な低下が「起こらない可能性よりも高い」かどうかという評価から、合併の結果、競争が実質的に低下する「現実的な見込み」があるかどうかに変更することを提案した。ファーマンとタスクフォースの両提案は、CMAがより多くのケースに介入することを可能にする。例えば、競争を著しく低下させる可能性が50%より低いが、損害の影響が大きいと評価される場合などである。

実質的なテストへの変更は慎重に検討される必要があるが、我々はそれが有益であると考える。現行の合併制度では、第1段階の調査で用いられる「現実的な見通し」の基準を満たす合併はごく一部であり、毎年、第2段階の詳細な審査を受ける合併はほんの一握りである。我々は、SMS合併制度の下での第1段階の調査に変更を提案していないので、第2段階での蓋然性の閾値を修正することは、少数の合併にしか影響を与えないだろうと予想している。また、このアプローチは、これまで提案されてきた代替案ほど介入的ではないと考える(図6参照)。介入の閾値が低くなっても、チェックアンドバランスを含む同じプロセスが、SMS合併制度の下、第2段階でも適用され続けるだろう。

図6:広範な選択肢の中での我々の提案するSMS合併体制
第2段階の合併の閾値による介入の度合いを示す図。
上記の理由により、政府はSMS指定企業が関与する合併への介入のためのフェーズ2の閾値を引き下げる意向である。我々は、タスクフォースが推奨する「現実的な見通し」アプローチに魅力を感じている(これはファーマン・レビューのアプローチの目標に合致している)。とはいえ、我々は、介入が適切であることを保証するために、適切なレベルに閾値を調整することの重要性を認識している。そのため、他の選択肢も含め、これを達成するための最善の方法について、利害関係者の意見を聞きたい。

諮問事項 30:SMSを有する企業が関与する潜在的に有害な合併への介入の増加を可能にするために、第2段階の詳細な合併調査で用いられる実質的なテストの確率基準を修正することの利点とリスクは、特にイノベーションと投資に関して何か?

諮問事項31: SMSを有する企業に対する英国の合併管理を、適切かつ効果的で、投資やイノベーションを阻害するリスクを最小化する方法で改善するために、政府はどのよな代替案を検討すべきか?


Furmanレビューをもとにした対応についてのパブリック・コメントがなされている様子は、非常に興味深いです。この諮問をもとに現在の段階でどのような動きがあるのかというのは、また別のエントリで。

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