裁判手続等のIT化検討会(第1回) 配布資料

裁判手続等のIT化検討会(第1回) 配布資料が公開されています

事務局提出資料をみると世界銀行”Doing Business”において、契約執行(裁判所手続き)については、OECD35国中23位、世界190国中 48位という評価が出ています。

このような現状から、「 迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、 裁判における手続保障や情報セキュリティ面を含む総合的な観点 から、関係機関等の協力を得て利用者目線で裁判に係る手続等 のIT化を推進する方策について速やかに検討し、本年度中に結論 を得る。 「未来投資戦略2017(具体的施策)」 P112」とされています。

ところが裁判所の提出した資料は、あたかも、関係者の努力をあざ笑うかのようなものです。

中身としては、4ページからありません。

3ページ目は、民事訴訟の現状 なので、パス。

4ページ目は「現に行われているIT技術の活用①」で、電話会議システム、テレビ会議システムが紹介されています。(ファクシミリが紹介されていないだけよかったような気がします)

5ページ目は「現に行われているIT技術の活用②」で、「督促オンライン  9万件余りの利用」「現行民事訴訟法でのその他の取組  現行民訴法132条の10はオンライン提出された申立て等について裁判 所でのプリントアウトが必須。」あたりくらいです。

7ページ目は、「民事訴訟のIT化の将来」として

「  情報化社会の進展+諸外国等のIT化の現状 → 利用者の利便性向上と民事訴訟の効率的進行に向けて IT技術の更なる活用は積極的に取り組むべき重要課題」

「 真に迅速かつ効率的な民事訴訟を実現するために どのようにIT技術を活用していくか  」

「克服していきたい課題 」

 ITを利用できない関係者への配慮をどうするか  どのようにセキュリティを確保するか

「 今後の具体的な取組」

となっています。

ちなみにこれは、要約ではなくて、そのままの貼り付けです。Kidding me?というところですね。

なので、最高裁は、司法が社会のインフラであるということは、否定しているということなのかとおもいます。いわれてみれば、そのように社会に影響のある裁判は、日本ではなくて、他の国でやってくれ、といっているんでしょうね。そうしておけば、外国から、黒船もやってこないし、投資もこないので(海外投資家は、すぐ株主権の濫用といいたがる傾向と合わせて)、みんなで仲良く沈没しましょうというムードなのでしょう。そして、それでも「日本の裁判所は、世界で一番」と信じているのですね、多分。

それでいいのか、ということになるのですが、1990年代から、裁判のIT化をいっている私たちは、もう、○○につける薬を探すほうが簡単というレベルの問題なので、どうしようもないですね。

 

 

 

BULL

Suitsにふれたついでにいま一つ、陪審のモックアップ(模擬)法廷を準備して、分析する仕事にフォーカスしたBULL(法廷を操る男)をみました。

Wowowのページは、こちら

模擬陪審をもとにアドバイスするという会社があるというのは、聞いて知っていましたが、その実際を、このようにテレビでみれるとは思いませんでした。

日本では、そのような会社が成功するということにはならないでしょうが、これもまた、世界の裁判の実際ということになるのでしょう。

ドラマとしても、よくできているかと思います。Check it outですね。

 

民事裁判IT化へ検討会 当事者の負担軽減

「民事裁判IT化へ検討会 当事者の負担軽減」という記事がでています。

「インターネットでの裁判所への書面提出、訴訟記録の電子化、テレビ会議システムを使用した審理の拡充などについて幅広く議論し、今年度内に提言をとりまとめる見込み」とのことです。裁判所や弁護士では、反対も多そうですが、ぜひとも前向きな対応したいところです。

もともとは、世界銀行”Doing Business”の競争力評価で、日本において、裁判手続の評価が低く、競争力も非常に低く認識されているというのがきっかけになります。
(「日本再興戦略 -Japan is Back-」(2013年)以降、成長戦略のKPIとしてのIndexを採用して「2020年までに世界銀行のビジネス環境ランキング において、先進国(OECD加盟35か国)で3位以内を目指す」としていました)

このランキングのなかに、「契約執行(裁判所手続)」という項目があります。そこで、裁判手続の質の指標(0-18)のうち、スコアが7.5ということで、OECD35か国中、23位、世界190ヶ国中48位です。

これらの状況のもと、未来投資戦略2017において、「迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、裁判における手続保障や情報セキュリティ面を含む総合的な観点から、関係機関等の協力を得て利用者目線で裁判に係る手続等のIT化を推進する方策について速やかに検討し、本年度中に結論を得る。」とされていたところです(112ページ)

所長高橋の個人的意見としては、民事裁判のIT化は、当然として、どのようにIT化していくか、というところが論点になるだろうと考えています。

具体的な問題点として
(1)導入しやすい分野と、それ以外とをわけてアプローチしていくべきなのではないか。特に、破産手続においては、全面的な導入をすべきではないか

ちなみに、ビットコイン事件のMt.Gox破産事件では、代替的なオンライン届出が採用されています

(2)刑事裁判の記録のオンラインでの閲覧を可能にすべきではないか
などがありますし、

また、実際の導入に際して

(3)日本のPKIの仕組みを前提としたものではなく、実際の使いでの良さを前提に、システムを考えてほしい
と思います。

政府の入札の仕組みでもって、スマートカードを利用したシステムを使っていますが、JAVAのシステムの反応速度の遅さ(数分かかる)に、実際は、使わなくなっているので、これと同様の問題が起きたら、結局、郵便で書面を送るようになって、偉大なコストの無駄になるような気がします。

なかなか、難しいのかもしれませんが、弁護士等の代理人を前提としたシステムを構築してもらいたいと思います。本人のマイナンバーカードで、スマートカードを利用して、弁護士事務所から、訴状を送信とか、のような理論的には、美しいけど、実際には、ありえない仕組みになりませんように。

まあ、もっとも、日本の競争力Indexの向上のためには、「利益を求めて株を売買することを、あたかも「悪」と考えている」という裁判所の文化を変えるほうがはるかに早いというのは、私の説ではあります。(“ルール破り”ブルドック判決のツケ
経営コンサルタント 大前 研一氏)。(少数投資家保護は、ちなみに、190ヶ国中 53位だそうです)

所長高橋郁夫が、CODEBLUE Day Zeroで、講演します

CFPに応募しまして、アクセプトされました。

プログラムは、こちらになります

テーマは、「サイバー犯罪における私的領域への捜査の法的諸問題」になります。リーガルマルウエアの法律問題という論考を明らかにしておりますが、それをもとに、GPS判決の法理と各国における動向(特に、アクティブ防衛の議論の隆盛)を見ていきたいと考えています。

奮って、参加ください。

所長 高橋郁夫が「中小企業のためのサイバーセキュリティイベント」でキーノートを務めさせていただきます。

所長高橋郁夫が、中小企業のためのサイバーセキュリティイベント で、「サイバー犯罪の傾向と対策・対応」と題した講演をさせていただきます。

中小企業の方々にとっても、サイバーセキュリティは、きわめて重要な問題になります。

暗号化しないpdfで、請求書を送っていたりしませんか、パスワードを次のメールで送っていませんか、サイバーセキュリティは、大企業の問題と思っていませんか。まさに現在問題となっているサイバー犯罪について、現時点での傾向、そして、万が一、巻き込まれてしまった時の対応についてお話をさせていただきます。

奮ってご参加ください。

英ロンドンで恒例行事、伝統の法廷衣装とかつらの裁判官らが集合

「英ロンドンで恒例行事、伝統の法廷衣装とかつらの裁判官らが集合」という記事がでています。

毎年恒例でありますが、儀式用のウイッグをつけて、秋の法廷の開始になるのでしょうか。(現在の英国の法廷の実務は疎くなっているので違ったらごめんなさい)。

この法廷衣装の論考については、自慢ではないですが、日本の第一人者ではないかとおもっています。ただ、問題は、第二人者がいないことですね。

(英国民訴だと、長谷部先生や我妻先生でしょうけど、さすがに、法廷衣装までは、研究はいたっていないでしょうからね)

個人的には、中野香織先生と、法廷衣装について語りあってみたいと思ってはいます。

STEM to STEAM

Hidden Figures (a.k.a ドリーム)の公開については、ITリサーチ・アートのHPでも触れていました (
CyCon2017 travel memo 11) Day4)。

でもって、とある飲み会で、今は、Art のAが加わって、アートと、STEMのコラボというか、お互いのケミストリーを、教育やITに関わる人は意識しないといけないですね、ということで、非常にもりあがりました。(たとえは、彼女とかね)

STEAMの記事は、こんな感じですね。

STEM to STEAM
とか
STEM/STEAMとは何か? AI時代の人生戦略「STEAM」が最強の武器である
でしょうか。

なんといって、私(高橋)の会社は、ITリサーチ・アートですし、本拠地は、アトリエ(駒澤)ですので、アートが、STEMとケミストリーを生み出していくというのは、自分で関わっていきたいし、それから生じるものをアシストしていきたいなあ、とおもっています。

とりあえずは、IT業界のSTEAMな女性たちをもり立てる活動なんてのは、格好いいよねとか、飲み会で盛り上がっていました。KanaさんのオーガナイズするCODE BLUE みんなきてね

来年以降もSTEAMのために、貢献しようかとおもっています。

IT

PS ついでにその飲み会では、「光格子時計」とか「香取量子計測研究室」とかを検索した履歴が残っています。というか、光格子時計ってすごいなあ、と感激。まあ、おそるべし飲み会。

 

サイトの構造を変更しています

駒澤綜合法律事務所のサイトを、通常のkomazawlegal.org の下に、

英語サイト(eng.komazawlegal.org)

家事事件(rikon.komazawlegal.org)

相続事件(souzoku.komazawlegal.org )

民事事件(civil.komazawlegal.org )

IT法(itlaw.komazawlegal.org )

に構成しなおしています。

 

英国 データ保護法改正案の注目点

9月14日に英国で、データ保護法改正案が公表されています。

英国のデータ保護法は、1998年データ保護法で、昔、わが国の基本的な枠組みに対しても、大きな示唆を与えるだろうと紹介したところでした。(論文としては、「英国データ保護法からの個人情報保護法への示唆」「英国データ保護法をめぐる適用除外の議論–情報保護法案は、マスコミ規制法?」です)

それは、さておき、Brexitとは、いえ、まだ、離脱が完成していませんので、英国としては、GDPRに対応して、データ保護法を改正しなければなりません。また、仮に離脱が完了したとしても、十分な保護レベルがあるとして、データのクロスボーダー移転が可能にならないとビジネスとしても回っていかなくなりそうです。その意味で、データ保護法の改正案をきちんとみていく必要があります。

法案は、国会のこちらのページになります。

98年法は6部(75条)と16の附則からなり立っていの附則からなり立っていたのに対して、今回は、7部(194条)と、18の附則(Schedule)からなりたっています。

ここの条文をみて分析していきたいところですが、今回は、注目の点をみていくことにしましょう。この注目の点については、趣旨説明が明らかになった段階でおおよその点は、推測できたということになります。(8月16日のエントリ)が、あらためて条文ともに検討しておくのは、有意義でしょう。

まずは、ファクトシートから。
Karen Bradley大臣は、「データ保護法案は、人々により、データに対するコントロールを増し、データ利用に関して企業をサポートし、英国をブレクジットに備えさせる」「デジタルワールドにおいては、サイバーセキュリティとデータ保護は、ともに手を携えて進むものである。この法案は、鍵になる。」としています。

What​ ​are​ ​we​ ​going​ ​to​ ​do?(何をしているのか)では、上の大臣の3点が強調されています。

How​ ​are​ ​we​ ​going​ ​to​ ​do​ ​it?(どのようにしてするのか)では、(1)データ保護法1998の制裁強化を代表とする全般的/現代的枠組み(2)GDPR準拠の一般データ保護の新しい標準、データに対するコントロール、データの移転および消去に関する新しい権利(3)世界をリードする研究、金融サービス、報道、法的サービスを継続しうるような例外規定の維持(4)刑事司法機関・国家安全組織において、被害者・証人・容疑者の権利を保持しながら、円国が直面する国際的な脅威に対して対抗しうるような枠組み がふれられています。

Background(背景)においては、データ保護法1998は、英国をデータ保護標準の先端においていたが、デジタル経済・社会の進展に適合させるために、データ保護法を現代化するものであるとしています。

そのなかで、法案の主たる要素が個別の項目にわけてふれられています。

一般データ処理(General​ ​data​ ​processing)
すべての一般的なデータ処理に関してGDPR標準を実装します。
●英国文脈においてGDPRで使用される定義を明確にする
●センシティブな健康、社会福祉、教育データが、健康において継続的に機密保持されたままで処理を続けられ、保護の状況を維持することができるように確保すること。
●国家の安全の目的を含み、強力な公共政策の正当性がある場合において、データのアクセスと削除の権利に適切な制限を設けて、現在行われている特定の処理を継続できるようにすること
●オンラインでデータを処理するのに親の同意が必要ない年齢を13歳に設定すること。

法執行機関における処理(Law​ ​enforcement​ ​processing)
.法執行の目的のために、警察、検察、その他の刑事司法機関による個人データの処理のための別個の体制を提供する
●個人データを保護するための保護する手段とともに国際的にデータの流れを妨げないようにする。

国家安全に関する処理(National​ ​Security​ ​processing)
.インテリジェンスサービスによる個人データの処理を規制する法律が、現存する新しく出現する国家安全保障上の脅威にインテリジェンスコミュニティが引き続き取り組むことができる適切な保護手段を含むものとし、最新の国際基準と最新のままであることを確保する。

規則および執行(Regulation​ ​and​ ​enforcement)
.データ保護法を継続して規制し実施する情報コミッショナーの追加権限を定める。
●最も重大なデータ侵害の場合、データ・コントローラおよびプロセッサに対するより高い行政罰金を課し、最も深刻な違反に対して最大17百万ポンド(2,000万ユーロ)または全世界売上高の4%を課す権限をコミッショナーに、許容する。
●データ・コントローラまたはプロセッサが、データ主体のアクセス要求による開示を防止する目的でレコードを変更する犯罪に対して刑事訴訟を提起する権限を権限者に付与する。