ブログ

AIで価格が高止まり? 新しい形のカルテルとは

「AIで価格が高止まり? 新しい形のカルテルとは 
瀬川奈都子・編集委員に聞く 」という記事が出ています。

新規技術が独占的な性格を有する場合に、その技術がハブとなって、他の市場の参加者が直接に連絡をしないでも、実質的にカルテルとなってしまうということになるかと思います。

ハブアンドスポーク・カルテルといわれる類型の進化版でしょうか。
結構、この類型は、論考がでているようです。
「最近のEUカルテル規制と日本企業への影響」とか「ハブアンドスポークに関する英国の判例」は、参考になるかと思います。

英国の一昔前の事件ですが、Hasbro/Argos/Littlewoods事件(2003)というのがあります。

「英国最大手のおもちゃ・ゲームメーカーであるHasbro社(「モノポリー」で有名)が、カタログ販売をも営むおもちゃの販売店であるArgos社、Littlewoods社とそれぞれ再販売価格維持を含む契約(推奨販売価格RRPを守るとする契約)を締結していた。カタログ販売のモデルというのは、それぞれ、春夏号・秋冬号のカタログを発行し、それに選ばれた種類のおもちゃをのせて、消費者が注文したら、それをサービスポイントであるお店に配送し、消費者は、そこでピックアップするというモデルであった。Argos社は、従来型(電子型ではない)のおもちゃの最大手であり、シェアは、17%、Littlewoods社は、業界5位、シャアは、4%であった。Littlewoods社は、カタログ販売でのArgos社の主たる競争相手であった。
公正取引庁は、このモデルにおいて、上記契約を価格維持の協定があるものと判断した。これらの判断については、争われたが、結局、責任と罰金 を認める判断が確定した。」
という事案です(ITリサーチ・アートの調査研究より)。Hasbroが、ハブになって、Argos社、Littlewoods社の間で直接の連絡がなくても、同様の効果が生じていました。(なお、2005年まで、英国では、再販売価格維持は、それ自体で違法とはされていませんでした)

関連記事

  1. 明けましておめでとうございます。
  2. 矢内良典弁護士が参加しました
  3. 英語ページを子ドメインにしました
  4. 法律相談のアルゴリズム
  5. 配偶者なしで、兄弟姉妹(両親をともにする)がいる場合
  6. 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に…
  7. サイトの構造を変更しています
  8. 遺留分制度の見直し (2)
PAGE TOP