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法の支配と英国の戴冠式におけるレガリアとしての正義の剣

エリザベス2世陛下が崩御されました。

私が英国にいたのは、1992年10月から1993年2月までで、あの年は、ウインザー城が火災にあったりと「アナス・ホリビリス」と表現された年でした。

チャールズ3世が即位さましたが、戴冠式が行われることになります。その戴冠式の式次第が、法の支配を象徴しているので、ちょっと紹介します。ロンドンで、最高裁判所(Royal Court of Justice  ) を訪問したときに、正義の剣が国王に渡されるという説明をみて、法の支配を象徴しているなあと感心した記憶があります。そこで、戴冠式・正義の剣(sword of Justice)について調べてみました。

戴冠式(Coronation)は、英国王室のホームページで説明がなされています。ホームページは、こちら。

エリザベス2世の戴冠式のビデオは、こちらです。戴冠式は、ウイリアム1世の1066年から、ウエストミンスター・アビーで行われています。

戴冠式は華やかで祝賀の場であると同時に、厳粛な宗教儀式でもあり、1000年以上にわたって基本的に変わっていない。この900年間、戴冠式はロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われてきた。1066年のノルマン・コンクエスト以来、ほとんど常にカンタベリー大司教がこの儀式を執り行ってきた。

憲法(Constitution )の根本的な原理で重要なのは、「法の支配」の原則があります。法の支配とは、

統治権自体も高次の法のもとにある

という考え方であるとされます(wikipedia )。

王は人の下にあってはならない。しかし、国王といえども神と法の下にある

という考え方です。

戴冠式は、国王の承継後から数カ月後に行われます。出席者は、国会議事堂、教会、国家の代表者が出席します。英連邦の首相や有力市民、他国の代表も出席します。

式典の中で、Sovereign(君主-主権)は戴冠式の宣誓を行います。その形式や文言は、何世紀にもわたって変化してきた。

今日、Sovereignは、法律に従って統治し、慈悲をもって正義を行うことを約束します。これは、戴冠式のレガリア(クラウンジュエル)の4本の剣に象徴される約束であり、英国国教会を維持することを約束するものです。

クウランジュエルというのは、タワーオブロンドンの宝物館でみれます。このレガリアの剣の説明は、こちらです。レガリアというのは、王権などを象徴し、それを持つことによって正統な王、君主であると認めさせる象徴となる物品になります。

礼拝の最初の部分で使用される戴冠式のレガリアは厳密に儀式的なもので、ソブリンが聖堂に入場する前の行列の間だけ使用されるそうです。

王室用メイス

メイスというのは、殴打用の武器です。クラウンジュエルには16個の王室用メイスがあるそうです。戴冠式の日に大修道院に持ち込まれるのは2個だけである。

3本の剣

戴冠式で使われる剣は全部で5本あります。戴冠式の行列が修道院に入るときに使われるのは、「精神的正義の剣 Sword of Spiritual Justice」「時間的正義の剣 Sword of Temporal Justice」「慈悲の剣 Sword of Mercy」の3本です。写真はこちら

「精神的正義の剣 Sword of Spiritual Justice」「時間的正義の剣 Sword of Temporal Justice」とは、ともに、Sword of Justiceであり、司法権を象徴しています。

行列の後、Sovereignは正式に会衆に紹介され、大司教によって「油を注ぎ、祝福し、聖別」され、エドワード王の椅子(1300年に作られ、1626年以降すべての王が使用)に座った状態で、君主は戴冠式を迎える。

エリザベス2世女王の戴冠式の宣誓は、


女王は椅子に戻り、(陛下はすでに1952年11月4日火曜日に両院の出席のもと、議会法に定められた宣誓を行い署名している)、前に立つ大主教が戴冠式の宣誓を行い、まず女王に問うものとする。

マダム、陛下は宣誓をされますか?

と尋ね、女王が答える。

喜んで

大司教はこれらの質問を相槌で打ち、女王は手に書物を持ち、以下のように各質問に個別に答える。

大司教 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ共和国連邦、パキスタン、セイロン、そしてあなたの領地と、それらのいずれかに属する、または関連する他の領土の人々を、それぞれの法律と慣習に従って統治することを厳粛に約束し誓いますか?

女王:そうすることを厳粛に約束します。

大司教 あなたの力で、法と正義、そして慈悲を、すべての裁判(judgement)において執行させるのですか?

女王:そうします。

大司教 あなたは自分の力の及ぶ限り、神の掟と福音の真の宣言を維持しますか?英国において、法律で定められたプロテスタント改革派宗教を全力で維持されますか?あなたは、英国で法律により設立された英国国教会の定住と、その教義、礼拝、規律、統治を維持し、不可侵のまま保持しますか?また、イングランドの司教と聖職者、およびその任にある教会に対して、法律で彼らまたは彼らのいずれかに付随するすべての権利と特権を維持しますか?

女王:そうします。


となっています。この大司教の言葉にSword of Justiceが如何に大きな意味をもっているか、というのがうかがえるような気がします。

戴冠式の次第としては、オーブと杖を受け取った後、大主教はエドワード王の冠を君主の頭に載せます。カンタベリー大司教と上級貴族による敬意を表した後、聖餐式が執り行われるとのことです。

 

 

 

 

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