日経トレンディで、法律相談支援チャットボットが紹介されました。

「無人」だから客が集まる、チャットボット接客が続々」という記事で、当事務所の法律相談支援チャットボットが日経トレンディで紹介されました。

「定型化した回答から適切な内容を返す仕組みにとどまっているからだ」というのは、そのとおりです。このあたりの経緯は、「法律チャットボットの作り方 その1-人工知能 対 人工無脳(?)」で触れているのですが、法律相談支援という目的を優先した場合には、「「相談したいのは、何」と聞いて、「相続、離婚、債務、交通事故、不動産、その他」から、タップしてもらったほうがはるかに効率的です。」といえると思います。その意味で、現在の技術のレベルでは、むしろ、このようないわゆるボタン式を採用したのは、合理性があるということになります。

このAIか、ボタン式か、というのは、チャットボット業界で、結構、テーマになっていたりしますので、そのうち、まとめて、再度触れたいとおもっています。それは、さておき、日経トレンディに事務所名が出るとは光栄です。

坂本正幸弁護士が事務所を離れました

坂本正幸法政大学教授が、法政大学の法律相談の指導の関係で、駒澤綜合法律事務所の所属を離れることになりました。

BLT法律事務所の時代から、5年ほど、ご一緒させていただきました。

民事紛争処理の実務のみならず、武力紛争法の研鑽やアマチュア無線に関する電波法規等の研究でもご一緒するのは、今後も変わりません。

とりあえず、ご報告させていただきます。

駒澤綜合法律事務所所長 弁護士高橋郁夫

ネットワーク中立性講義 その2 エンド・ツー・エンド原則と議論の契機

エンド・ツー・エンド原則

インターネットにおいて、電気通信に関する一般的な認識として、E2E原則があります。

これは、ISPは、土管であるとして、利用者から利用者に対する通信について、なんらの変更をなすこともなく、そのまま伝えなければならないという考え方です。
その1で紹介した定義におけるネットワーク中立性も、同様の文脈で語られることになります。

もっとも、具体的に、どのような内容がはいってくるか、という点については、厳密な議論があるわけではありません。網羅的な議論をみていく(C.T.Marsden ” Net Neutrality Towards a Co-Regulatory Solution ”)ときには、①コンテンツによる区別的取扱 ②接続サービスと公平な競争 ③サービスの質と超過価格 ④利用者の権利とテイクダウン、責任の問題 ⑤利用と対価の公平性 などの問題が、ネットワーク中立性の概念のもとに議論されているのがわかります。
(ちなみに、Marsden先生は、前にインタビューしたときにサインをいただきました。)

では、これらの事案は、具体的には、どのようなものであり、どのような観点から議論がなされているのでしょうか。わが国においては、電気通信事業法において、通信の秘密(「秘密の保護」)(電気通信事業法4条)、利用の公平(同6条)が準備されており、上の論点については、それらでカバーされる範囲も相当ありそうに思えます。
また、実際に起こりうる問題を考えるときに、他に適用される規定はないのか、ということを考えることも必要でしょう。

そうだとすると、諸外国で議論されている事案にどのようなものがあるのか、というのを洗い出す作業が出来さえすれば、それに対応するわが国の態度が客観的に見えてくることになります。すなわち、諸外国の議論を分析することが、ネットワーク中立性の議論のアルファかつオメガになりうるのです。

歴史的契機

具体的には、1999年などから、ISPによるコンテンツに対する区別は議論されてきました。

ネットワーク中立性という用語のもとに議論されるようになったきっかけは、Tim Wu教授が、2003年の「Network Neutrality, Broadband Discrimination 」という論文で、ネットワーク中立性の概念を提案したことによります。

この論文では、アプリケーション間の中立性、データおよびQoSが要求されるトラフィックに関する中立性を検討し、これらの潜在的課題に対処する立法を提案しています。また、学問的な分析もなされています。

ネットワーク中立性講義 その1 背景

このごろ、ネットワーク中立性という用語を聞くようになっています。G7、G20、OECD、APECといった多国間の枠組みや、TPP等のFTA/EPA(電子商取引章)の枠組み、WTOなどを通じて、グローバルに議論されるようになってきています。

ネットワークの中立性とは、「インターネット接続業者等が、特定のコンテンツやアプリケーション等を差別・区別することなく、インターネット上の全てのデータを平等に扱うことで、全ての者がインターネットを公平に利用できるようにするべきだとする考え方」と定義することができるでしょう。もっとも、ネットワーク中立性の概念は、論者によって、その含む範囲が異なります。また、視点もネットワークを利用する権利という観点からアプローチするものから公平な競争という観点からアプローチするまで種々のものがあります。

また、諸外国で、ネットワーク中立性の概念で論じられている内容の相当部分が、わが国においては、通信の秘密や利用の公平の概念のなかで論じられているという事象も存在しています。

上述のように多国間の枠組み及びWTO等におけるネットワークの中立性の議論のなかでは、我が国の立場を正確に位置づけようとする必要が出てるのかと思います。しかしながら、どうも、専門的な議論のはずが、評論家的な立場からの議論が表に出てくる可能性があるかと思います。

専門的な立場から、単なる表面的な文言のみではなくその背景の法理論・実務と関連づけて深く検討して、客観的に分析する必要があるにもかかわらず、真のシンテリジェンスが提供されないのは、わが国の悲しい現実であるということがいえるでしょう。

また、電気通信市場においては昨今、MVNO や光回線卸などの業態が進展し、複数の通信サービスやその他のサービス・製品とのバンドルによるサービスの多様化が進んでいます。このようなサービスの多様化などのなかで、通信サービスの提供者が、特定のコンテンツやアプリケーション等の通信料を無料とするサービス(ゼロ・レーティング)を提供することをこころみようとしています。

わが国においても、株式会社LINEがLINEモバイルを提供しており、そのゼロ・レーティングである「カウントフリー」機能が大きな特徴となっており、議論を呼んでいます。

このような取扱が、「ネットワーク中立性の概念」に抵触することになるのか、また、それ以外の根拠などから、許容すべきかどうか、という点が議論になってきています。
「ゼロレーティング」はどうすれば実現できるのか――IIJ佐々木氏が語った課題と今後
とか
「ゼロレーティングを支える技術とローカルレギュレーション」
がでています。

これらに対して、既存のサービスの市場力を利用した通信サービスの提供という観点も含めて、冷静かつ客観的な法的な議論を試みたいと考えています。

AIで価格が高止まり? 新しい形のカルテルとは

「AIで価格が高止まり? 新しい形のカルテルとは 
瀬川奈都子・編集委員に聞く 」という記事が出ています。

新規技術が独占的な性格を有する場合に、その技術がハブとなって、他の市場の参加者が直接に連絡をしないでも、実質的にカルテルとなってしまうということになるかと思います。

ハブアンドスポーク・カルテルといわれる類型の進化版でしょうか。
結構、この類型は、論考がでているようです。
「最近のEUカルテル規制と日本企業への影響」とか「ハブアンドスポークに関する英国の判例」は、参考になるかと思います。

英国の一昔前の事件ですが、Hasbro/Argos/Littlewoods事件(2003)というのがあります。

「英国最大手のおもちゃ・ゲームメーカーであるHasbro社(「モノポリー」で有名)が、カタログ販売をも営むおもちゃの販売店であるArgos社、Littlewoods社とそれぞれ再販売価格維持を含む契約(推奨販売価格RRPを守るとする契約)を締結していた。カタログ販売のモデルというのは、それぞれ、春夏号・秋冬号のカタログを発行し、それに選ばれた種類のおもちゃをのせて、消費者が注文したら、それをサービスポイントであるお店に配送し、消費者は、そこでピックアップするというモデルであった。Argos社は、従来型(電子型ではない)のおもちゃの最大手であり、シェアは、17%、Littlewoods社は、業界5位、シャアは、4%であった。Littlewoods社は、カタログ販売でのArgos社の主たる競争相手であった。
公正取引庁は、このモデルにおいて、上記契約を価格維持の協定があるものと判断した。これらの判断については、争われたが、結局、責任と罰金 を認める判断が確定した。」
という事案です(ITリサーチ・アートの調査研究より)。Hasbroが、ハブになって、Argos社、Littlewoods社の間で直接の連絡がなくても、同様の効果が生じていました。(なお、2005年まで、英国では、再販売価格維持は、それ自体で違法とはされていませんでした)

無線LANただ乗り、電波法は「無罪」…懸念も

「無線LANただ乗り、電波法は「無罪」…懸念も 」 という記事がでています。

法的な問題にコメントするのは、非常に難しく、判決文がないとコメントできないというのが私の主義なのですが、なんといっても、中学校1年のときのアマチュア無線技師の試験のときからお世話になっている電波法の「通信の秘密」に関する判決なので、すこし考察してみます。

まず、最初に基礎知識です。

1)通信に関する法律として「通信の秘密」とかが、よくいわれますが、電気通信事業法における通信の秘密(4条)と電波法における通信の秘密-秘密の保護(59条、刑罰としては、109条)は、事業法が通信に関して知得、漏えい、窃用を禁止しているのにたいして、電波法は、漏えい、窃用のみが禁止されています。(電波については、その内容についての積極的な取得は、「傍受」といわれます。傍受は、禁止されていませんということがいわれるわけです)

2)暗号通信がなされている場合に、その暗号を復号して通信の内容を復元する行為については、通信の知得のみにかかることもあって、電波法の構成要件に該当することはないと考えられていました。

3)そうはいっても、暗号通信は、通信の機密性を維持するための重要なツールなので、何らかの保護が必要でしょうということ(サイバー犯罪条約の関係もあるし)で、平成16年電波法の改正によって、(暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的でもって)通信の内容を復元する行為について、109条の2が制定されています。
109条の2は、「暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したとき」は、処罰されるとしています。

4)したがって、解釈としては、復元は、傍受に含まれませんし、また、漏えいや窃用には含まれないと解されています。

ということで、「近所に住む男性が利用する無線LANを使用するための「暗号鍵」を解読。入手した鍵を自分のパソコンに入力してインターネットに接続したとして、電波法違反」ということについて考えれば、
「検察側は「暗号鍵はそれ自体が無線通信の内容を構成する」と指摘し、「他人の暗号鍵で無線LANを使うただ乗りは、秘密の無断使用にほかならない」と主張」というのは、電波法の解釈からいえば、きわめて異端(試験でこういう解釈書かれたら、もう一年勉強してねレベル)ということがいえるでしょう。

(追加ね)とは、いっても、検察も不勉強だったわけではないと思います。109条の2の条文を見てもらえれば、わかりますが、「通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的」が必要になるので、通信のリソースを使うのは、この条文の対象にならないものと考えられます。その意味で、通信の内容の機密性の保護という法益をベースに組み立てられているのが確認されるわけです。その上で、困ってしまって、上のような異端の主張をせざるを得なかったのでしょう。(ここまで)

「個人のネットワークの利用権は法的に保護されるべきで、新たな立法措置に向けた議論を早急に進めるべきだ」という上原先生の議論については、無線のルータの利用しうる立場は、ルータのアクセス制御の無権限利用という見地から保護されるべきように思えます。この点については、判決文を見た段階で、検討したいと思います。

なお、検察官で、ここら辺を研究しなくてはならない方のために、無線法律家協会(無法協)というのがあることをご紹介しておきます(原則は、無線従事者ライセンスがないといけませんけどね)。

21世紀の民法

「民法(債権関係)の見直しについて」についての議論がなされて、「民法の一部を改正する法律案」が衆議院を通過しました(要綱法律案)。

改正案を眺めていくと、いままで解釈等で行われていたのを整理・明確化したというものが多いようなイメージかと思います。もう特定物のドグマとか、回答でかけなくなるのね、とか、思ったりします。

ただ、法定利率が3パーセント/しかも、法務省令による変動性とされるのは、インパクトがありますね。中間利息控除についての特則もついています。

たくさん、勉強しないといけいなあと思いつつも、ふと、21世紀の民法という観点を見たときに、いまの法典の体系なるものは、果たして有効なのだろうかと思ったりします。分かりやすい民法というのであれば、それが、プログラム的に、自動的に実行できる形式に整理されるといいなあ、という考えるようになりました。詳しくは、次のポストに書いてみました。この改正に費やす労力の何分の一かで、民法の条文のアルゴリズム化ができそうですし、その後の電子的な処理にも、すごく役に立ちそう。

 

 

法律相談のアルゴリズム

日頃、法律相談をしているときに、法律相談というのは、根本的にアルゴリズム化できるし、それのもとに、法律の条文・概念を位置づけるのが必要なのではないかと考えるようになりました。

たとえば、個人の方が「債務を負っています」という相談の場合には、標準的な法律相談は、以下のようなアルゴリズムに基づいてなされています。多分、経験を積んだ弁護士の方(30年経つとそれはそれで感慨がありますが)は、それを意識しないでも、自然にこのようなアルゴリズムが身についていると思います。

ということは、これを対話式のプログラムに乗せると、私の仮想アシスタントが出来上がるというわけ。でもって、今度のGWは、仮想アシスタント作成に挑戦です(?)。

 

 

坂本正幸弁護士の日弁連総会の委任状が改竄されました。

3月3日 日弁連で、総会が開催されされていますが、その総会の委任状が変造されました。

これがもともとの委任状なのですが、以下のように、かかる文書の作成権限を有しないものによって、変造されています。

これは、許されないものであり、弁護士会が、いかに法にたいして敬意を支払わないものに堕落しているかを示すものと思えます。


 

 

 

 

 

 

事務所として、かかる行為にたいして強く抗議いたします(高橋郁夫)

Silk (TV) & Peter Moffat

AXN ミステリーで放送していたSilk シーズン3を一気にみました。

駒澤綜合法律事務所も、英国の事務所と同様のチェンバースシステムを採用しているといっているので、事務所の仕組みとかもわかったりしておもしろかったです。

シルクは、QCのガウンからきているのですが、そのあたりは、こちらをば。

で、ちょっとみていたら、原作者のPeter Moffat氏は、もと、バリスターだったとのこと。
アメリカのDavid e.Kellyもボストンの弁護士だったので、英米ともに、大人の視聴に耐える弁護士ものは、やっぱり本物の魅力があるよなあとか思ったりしています。

ちなみにシーズン2は、間違って消してしまっていてみていないのですが、なんと楽天SHOWTIME でみれるとのこと。いい時代です。