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「民事裁判IT化へ検討会 当事者の負担軽減」という記事がでています。
「インターネットでの裁判所への書面提出、訴訟記録の電子化、テレビ会議システムを使用した審理の拡充などについて幅広く議論し、今年度内に提言をとりまとめる見込み」とのことです。裁判所や弁護士では、反対も多そうですが、ぜひとも前向きな対応したいところです。
もともとは、世界銀行”Doing Business”の競争力評価で、日本において、裁判手続の評価が低く、競争力も非常に低く認識されているというのがきっかけになります。
(「日本再興戦略 -Japan is Back-」(2013年)以降、成長戦略のKPIとしてのIndexを採用して「2020年までに世界銀行のビジネス環境ランキング において、先進国(OECD加盟35か国)で3位以内を目指す」としていました)
このランキングのなかに、「契約執行(裁判所手続)」という項目があります。そこで、裁判手続の質の指標(0-18)のうち、スコアが7.5ということで、OECD35か国中、23位、世界190ヶ国中48位です。
これらの状況のもと、未来投資戦略2017において、「迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、裁判における手続保障や情報セキュリティ面を含む総合的な観点から、関係機関等の協力を得て利用者目線で裁判に係る手続等のIT化を推進する方策について速やかに検討し、本年度中に結論を得る。」とされていたところです(112ページ)
所長高橋の個人的意見としては、民事裁判のIT化は、当然として、どのようにIT化していくか、というところが論点になるだろうと考えています。
具体的な問題点として
(1)導入しやすい分野と、それ以外とをわけてアプローチしていくべきなのではないか。特に、破産手続においては、全面的な導入をすべきではないか
ちなみに、ビットコイン事件のMt.Gox破産事件では、代替的なオンライン届出が採用されています
(2)刑事裁判の記録のオンラインでの閲覧を可能にすべきではないか
などがありますし、
また、実際の導入に際して
(3)日本のPKIの仕組みを前提としたものではなく、実際の使いでの良さを前提に、システムを考えてほしい
と思います。
政府の入札の仕組みでもって、スマートカードを利用したシステムを使っていますが、JAVAのシステムの反応速度の遅さ(数分かかる)に、実際は、使わなくなっているので、これと同様の問題が起きたら、結局、郵便で書面を送るようになって、偉大なコストの無駄になるような気がします。
なかなか、難しいのかもしれませんが、弁護士等の代理人を前提としたシステムを構築してもらいたいと思います。本人のマイナンバーカードで、スマートカードを利用して、弁護士事務所から、訴状を送信とか、のような理論的には、美しいけど、実際には、ありえない仕組みになりませんように。
まあ、もっとも、日本の競争力Indexの向上のためには、「利益を求めて株を売買することを、あたかも「悪」と考えている」という裁判所の文化を変えるほうがはるかに早いというのは、私の説ではあります。(“ルール破り”ブルドック判決のツケ
経営コンサルタント 大前 研一氏)。(少数投資家保護は、ちなみに、190ヶ国中 53位だそうです)