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相続の効力等に関する見直し、というのは、相続による権利の承継について、対抗要件主義が適用されることになったことを示しています。
改正前においては、遺言による権利変動のうち相続を原因とするものについて、判例は、登記等の対抗要件を備えなくても、権利の取得を第三者に対抗することができるとしていました。
しかし、これでは、遺言によって利益を受ける相続人が登記等の対抗要件を備えようというインセンティブが働かないということになるとともに、
相続債権者が、法定相続分による権利の承継があったことを前提として相続財産に属する債権の差押と取立をした場合を考えたときに、被相続人の債務者が、その取立に応じても、遺言に反する部分は、無効になってしまうので、その債務者が附則の損害を被る可能性があります。
相続債権者や被相続人の債務者の法的地位については、相続開始の前後で、できるかぎり変動が生じないようするのが妥当である、ということを考えたときに、法定相続分を超えた場合には、その部分について対抗要件を備えなければ、権利を主張し得ないとしても、不当なものではないと考えられ、そのような場合は、利益を受ける相続人は、登記等の対抗要件を備えなければ法定相続分を越える権利の取得を第三者に主張することができないこととされました。
条文としては、899条の2・1項(共同相続における権利の承継の対抗要件)です。
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。