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AI契約レビューと弁護士法-弁護士・オン・ザ・ループと米国の法的支援業務の法理の示唆

AI契約レビューに関してグレーゾーン解消制度を利用した照会したところ、グレーです、とされ、グレーのお墨付きをもらってしまったという事例が報道されています。「AIで契約書チェックに「違法の可能性」 揺れる法曹界 法務インサイド」) ちょうど、ロビイングについて簡単な紹介の論考を書こうと考えているので、すこし、勉強していきましょう。

1 法的制度

1.1 グレーゾーン解消制度

経済産業省の産業競争力強化のページのところでは、「規制のサンドボックス」制度、新事業特例制度とならんであげられています。

現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、事業者が安心して新事業活動を行い得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です

ということになっています。

消費者庁の説明では、

「グレーゾーン解消制度」とは、産業競争力強化法に基づき、事業者が、現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、安心して新事業活動を行い得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。

となります。産業競争力強化法によると、その7条は、

(解釈及び適用の確認)
第七条 新技術等実証又は新事業活動を実施しようとする者は、主務省令で定めるところにより、主務大臣に対し、その実施しようとする新技術等実証又は新事業活動及びこれに関連する事業活動(以下この項及び第十四条において「新事業活動等」という。)に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令(告示を含む。以下この節及び第百四十七条第一項において同じ。)の規定の解釈並びに当該新技術等実証又は新事業活動等に対するこれらの規定の適用の有無について、その確認を求めることができる。

というものです。

産業競争力強化法施行規則(平成三十年内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第一号)の6条は、

解釈及び適用の確認に係る手続)
第6条 法第7条第1項の規定により新事業活動を実施しようとする者は、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)の規定の解釈並びに当該新事業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、その確認を求めるときは、当該規定の内容その他の事項を記載した様式第五による照会書(以下この条において「照会書」という。)を主務大臣に提出しなければならない。
2 二以上の主務大臣に照会書を提出する場合には、いずれか一の主務大臣を経由して、他の主務大臣に提出することができる。この場合において、当該照会書は、当該一の主務大臣が受理した日において当該他の主務大臣に提出されたものとみなす。
3 法第七条第一項の規定による求めを受けた主務大臣は、当該求めに係る解釈及び適用の有無の確認がその所管する法律及び法律に基づく命令に関するものであるときは、照会書を受理した日から原則として一月以内に、当該求めに係る解釈及び適用の有無について記載した様式第六による回答書を当該求めをした者に交付するとともに、様式第七により、その回答の内容を公表するものとする。(以下、略)

となっています。

具体的な経済産業省のところでのひな型は、こちらです。

1.2 ノー・アクション・レター制度(法令適用事前確認手続き)

一方、ノー・アクション・レター制度(法令適用事前確認手続き)というのがあります。これは、平成12年12月に閣議決定された「経済構造の変革と創造のための行動計画」(第3回フォローアップ)において検討を進めるものとされたもので、その後、平成13年3月27日に「行政機関による法令適用事前確認手続の導入について」の閣議決定で、導入されました。

そこでは、

IT革命の到来等のなかで、民間企業の事業活動が迅速かつ公平におこなわれることを視野に入れて、行政処分を行う行政機関がその行政処分に関する法令解釈を迅速に明確化する手続き

と定義されています。

具体的には、e-govに各省庁の説明のページへのリンクが準備されています

私としては、一番、興味のある総務省のページは、こちらです。

2 AIによる契約書レビューについて

2.1 AI契約レビューとは何か?

まじめに学問的な話をすれば、そもそも、「知能(intelligence)って何?」という定義がはっきりしていないので、人工知能(AI)技術を用いて、という言葉自体についても、

うさんくらいマーケッティング用語

という話がいいのだろうと思います。

それは、さておき、AI契約書レビューって何?ということになります。後述するのですが、具体的な契約案件についてのその契約書を①法的観点から有利であるか不利であるか、②法的リスク、③法的観点から修正を検討すべき箇所及びその修正の文案、④法的観点から留意すべき事項について検討を促す旨、⑤法的なリスクを数値化したリスクスコア、を判断する行為ということににしておきます。

我が国においては、リーガルフォース、 GVA assist, LAWGUEなどが、この分野のプレーヤーということになるかと思います(AI契約書レビューサービス比較7選!機能や費用、注意点は?) 。

ここで、個人的な興味としては、アメリカでの状況を参考にしたいと思います。

2.2 AI契約レビューについての米国の状況

英語で調べると

などがでてきます。

有名な会社としては、Lawgeexなどがあります。

Lawgeexのページは、こちらです

CRAのプロセスは、まず、お客様の既存のプレイブックや契約書を使用して、デジタル・プレイブックを設定することから始まります。
CRAのプロセスは、既存のプレイブックや既存の契約書を使用して、デジタル・プレイブックを設定することから始まります。
CRAプレイブックはレビューガイドラインの役割を果たし、新しい契約を標準語や代替語などのポジションに照らして評価することができます。

という記載があります。CEOへのインタビューはこちら。そのインタビューでは、アップデートしてもらえれば、データベースと照合して、抜けているところ、弱いところ、通常な表現かどうか、などを評価するという説明をしています。

以下でふれる「法律事務」との関係については

などでしょうか。より広範な範囲ですが、「法律事務独占」との関係について説明する論文として

があります。これによると法律情報ポータルのLegalZoom の適法性をめぐる紛争が2010年以降、存在し、州によっては違法であるという判断がなされたことがかわります。

契約レビューとの関係よりも、eディスカバリーでの利用をも踏まえると

また、ABA (アメリカ法曹協会)のこの契約レビューについてのドキュメントとして

があり、特段、法律事務の独占との関係へのコメント等はなされていません。

3 日本における適法性について

3.1 弁護士法72条について

弁護士法72条は、

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

と定めています。

ちなみに、ここでは、「その他の一般法律事件」というのは、という表現については、「事件性」を要しないと介するのが一般です(条解弁護士法617ページなど)。また、鑑定は、法律的見解を述べることなので、契約の法的リスクの評価を業としてなすことも72条違反の問題になります。

そうすると、上でみたAI契約レビューが、この弁護士法72条との関係でどうなるの?という疑問がでてくるわけです。

そして、冒頭でふれたグレーゾーン解消制度の回答がでたわけです。

これは、制度としては経済産業省(METI)が担当して、法務省が回答するという形になります。そのページは、こちら(METI)です

具体的には、「新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表」です。

照会者は、本件サービスを提供するものです。すなわち、

ーザーが法務審査を受ける契約書に係る契約の当事者等ではないから、本件サービスによる法務審査が「他人の」法律事件に関するものに当たると評価され得る。

というのが前提です。

これについては、3.新事業活動に係る事業の概要で

⑴ ユーザーは、照会者との間でサービスの利用契約を締結し、所定の料金を支払うことにより照会者が提供するアプリケーション上でAI契約審査サービス(以下「本件サービス」という。)を利用することができる。
⑵ ユーザーは、法務審査を希望する契約書を当該アプリケーション上にアップロードする。
⑶ 照会者は、AI技術を用いて、アップロードされた契約書の記載内容について、ユーザーにとって法的観点から有利であるか不利であるか等の審査結果を当該アプリケーション上で表示する。

と特定されているところです。特に「AI技術を用いたユーザーにとって法的観点から有利であるか不利であるか等の審査結果」を伝えるというのは、

①法的観点から有利であるか不利であるか、②法的リスク、③法的観点から修正を検討すべき箇所及びその修正の文案、④法的観点から留意すべき事項について検討を促す旨、⑤法的なリスクを数値化したリスクスコア、をいずれもユーザーの立場に立ってアプリケーション上で表示

する技術であるという特定がなされています。

3.2 回答をみる

この事業について、「回答」5(2)では、

ユーザーが、本件サービスを利用して法務審査を受ける契約書に係る契約は、その目的、本件サービスを利用する者(ユーザー)と相手方との関係、契約に至る経緯やその背景事情等の点において様々であり、こうした個別の具体的事情によっては、本件サービスが、弁護士法第72条本文に規定する「その他一般の法律事件」に関するものと評価される可能性がないとはいえない。

としています。その上で

審査対象となる契約書に含まれる条項の具体的な文言からどのような法律効果が発生するかを判定することが大前提となっており、これは正に法律上の専門的知識に基づいて法律的見解を述べるものに当たり得る。よって、本件サービスは弁護士法第72条本文に規定する「鑑定」に当たると評価され得るといえる。

⑶ 以上によれば、本件サービスは、弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる。

と回答されています。

では、この回答が、どのような意味を持っているのか、ということについて考えてみたいと思います。が、この場合、「AI技術を使って」表現、そして「判定」するという表現が気になります。

3.3 AI 技術の落とし穴

回答の話としては、

  • 「その他一般の法律事件」か、どうか?
  • どのような法律効果が発生するかを判定することが大前提

ということが要素になっているかと思います。

しかしながら、AI技術が語られる場合については、人間とのかかわり方との関係で

  1. ヒューマン・イン・ザ・ループ
  2. ヒューマン・オン・ザ・ループ
  3. ヒューマン・アウトサイド・ザ・ループ

の三つがあるとされています。

人間がループの中に位置する((目標選定や攻撃の決定を人間の指令でしか実施できないもの)のか(human in the loop)、ループ上に位置して、不適切な事態が発生した場合に介入することができる状態を維持するのか(human on the loop)、もしくはループの外側に位置をとる (human outside the loop)のか、ということです。

この点についてのわかりやすい説明は、齋藤先生の「LAWSの議論」あたりでしょうか。学問的には、LAWS (自律的致死兵器システム)の議論が進んでいます。

この点について新しく、詳細な分析については、Approaching the human in the loop – legal perspectives on hybrid human/algorithmic decision-making in three contexts 」があります。

このようなAIの一般論を弁護士法との関係で考えると契約書の合法性・リーガルリスクの判断について、弁護士とのかかわり方についてみれば、いわば、

  1. lawyer・イン・ザ・ループ
  2. lawyer・オン・ザ・ループ
  3. lawyer・アウトサイド・ザ・ループ

の類型が考えられるわけです。

これを図解します。

すなわち、AIの活動の開始・評価・判断すべてに弁護士が関与している場合(AIが単にいままでの契約書データを示す場合とか)は、弁護士が、AIの活動のループの中ということがいえるでしょう。また、AIが、自律的に、一定の判断をなしたとしても、弁護士が、その評価等をオーバーライドできるとかの監督権限を有する場合が、弁護士が、そのループの上にいるということができると思います。一方、このような関与の仕方がなされないのが、弁護士がループの外ということができます。

この図を基に考えるとき、

審査対象となる契約書に含まれる条項の具体的な文言からどのような法律効果が発生するかを判定することが大前提

という大前提が、実は、緻密に考えるべき事項であることがわかります。

AI技術との関係でいえば、どの場合に、この大前提が満たされているのか、という観点からみるべきだろうといえるわけです。

3.3 類似案件について

ここで判定という用語についても考えてみます。採血って、医療行為なはずだけど、看護士さんするよね、みたいなもんがゃないの?という疑問とパラレルに考えることにします。ちなみに看護士さんの採決行為は、医師の指示のもとでおこなえると解されています。

3.3.1 弁護士の補助と弁護士法違反

では、実質的には、弁護士ではないものが処理しているのにもかかわらず、弁護士が処理しているという状態だったときに、弁護士法との関係はどうなるのか、ということになります。この場合、弁護士法27条は、

(非弁護士との提携の禁止)
第27条 弁護士は、第72条乃至第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

という定めがあり、名義の利用をさせることを禁止しています。ここで「自己の名義を利用させ」というのは、弁護士でないにもかかわらず、自己の計算または最良において弁護士の職務に属する業務を行うものに対し、弁護士が自己の名義の利用を明示的または黙示的に許容することをいうとされています。

この文言が問題になった案件として物損事故調査員(アジャスター)の問題があります。結局、

アジャスターは、弁護士の指示に従いその補助者として業務を行い、関与しうる自己処理の範囲は、請求損害額30万円以下の物損事故に限定され

たという案件があります。

3.3.2  米国におけるドキュメントレビュー実務と「法律実務(プラクティス・オブ・ロー)」をめぐる議論

より、定型的な業務の処理と弁護士の関与という観点からは、米国において、ドキュメントレビューと「法律実務(プラクティス・オブ・ロー)」の限界をめぐる議論をみるのが合理的に思えます。上の看護士さんの話と同様の問題です。

これについての先例は、Lola v. Skadden, Arps, Slate, Meagher & Flom LLP,(F. App’x 37 (2d Cir. 2015))になります。この事件は、原告がドュキメントレビューに従事しており、週40時間を超えても、同じ賃金が支払われたのに対して、割り増ししての支払い義務があるとして支払いを求めた事件てず。被告は、弁護士の業務を行っているので、そのような支払い義務から、免除されると主張しました(§ 第 541.304 条 法律または医学の実践の(d))。これに対して原告は、被告によって綿密に監督されており、「全責任は……(a)文書を見て、もしあればどの 4 1 検索語が文書に出てくるかを確認し、(b)それらの文書を被告が予め決めたカテゴリーに印をつけ、(c)時には被告が提供した特定のプロトコルに基づき特定の文書の一部 を編集するためのブラックボックスを引くことから成る」と主張していました。原告はさらに、被告から、検討した文書、これらの文書に関連して使用すべき検索語、および検索語が出現した場合に従うべき手順が提供されたとも主張しています。

29 CFR § 541.304 – Practice of law or medicine.は、

§ 第 541.304 条 法律または医学の実践
(a) 本法令第 13 条(a)(1)の「真に専門職として雇用される従業員」という用語は、以下をも意味する。

(1) 法律または医学、あるいはその支部の業務を許可する有効な免許または証明書の所有者で、実際にその業務に携わっている従業員。

(2) 一般医業に必要な学位を有し、医業の実践に基づくインターンまたは研修医課程に従事している従業員 (3) 一般医業に必要な学位を有し、医業の実践に基づくインターンまたは研修医課程に従事している従業員

(b) 医学の場合、免除は、医科学および治癒の分野、または医師や開業医が実践する医療専門分野の免許を取得し実践している医師およびその他の開業医に適用される。医師」には、開業医や専門医を含む医学博士、オステオパシー医(Doctor of osteopathy)、足病医、歯科医(Doctor of dental medicine)、検眼医(Doctor of optometry or bachelors of science in optometry)が含まれる。

(c) インターンシップまたは研修プログラムに従事する従業員は、プログラム開始前に開業免許を取得しているか否かにかかわらず、その専門職の一般開業に必要な適切な学位を取得した後にそのインターンシップまたは研修プログラムに入る場合、免除される専門職として適格である。

(d) 本編の§541.300およびサブパートG(給与要件)の要件は、本節に記載された従業員には適用されない。

 

判決は、こちらです

判決は、上記「法律実務」の定義が州法によること、また、北カリフォルニア州法を準拠法にしたことに間違いはないことを認定しています。その上で、

本章で使われる「法律業務」とは、報酬の有無にかかわらず、他の個人、事務所、 法人に対して法律業務を行うことと定義され、具体的には、行政裁判所および他の司法または準司法機関を含むあらゆる裁判所で使用するための申立書の作成および提出、あるいは助言、弁護、 その他の方法であらゆる法律業務を支援し、個人、事務所、法人の法的権利に関して助言 または意見を与えること、……などが含まれる。

とした上で、法律で認められている場合を除き、……正会員以外の個人または人の団体が、報酬または対価を得 て、または得ずに、法律上の助言や相談を行い、または他の法律サービスを提供することは、 違法とする。. . .としました。そして、連邦地裁は、

弁護士は、書類整理、会計、事務的支援などの事務的支援業務に外部アシスタントを使用することができる。また、弁護士は、文書の確認、デューディリジェンスの実施、契約書、答弁書、および法律に関する覚書の起草、および法的調査の実施など、限られた法的支援業務に外部アシスタントを使用 することができる。外部アシスタントは、依頼人のために意思決定を行う際に、独立した法的判断を行うことはできない。. . . アウトソーシングできる法律業務の種類を制限し、外部アシスタントの使用に関連する人選および監督の要件と組み合わせることで、依頼者の代理人としての能力を確保することができる。規則 5.5(d)を参照のこと。ただし、法律支援業務をアウトソーシングする場合、弁護士は、一般法第 84 章の無許可 の法律行為の禁止および規則 5.5(d)の無許可の法律行為の幇助の禁止に注意する必要がある。N.C.州弁護士倫理委員会、2007 年正式倫理規定 12 (Apr. 25, 2008)。12 連邦地方裁判所は、(1) ノースカロライナの法律では、文書審査は「契約書、答弁書、法覚書の起草[]、および法的調査の実施」とともに「法的支援業務」と見なされること、(2) 倫理見解は、ドキュメントレビューのような法的支援業務と「文書の組み立て、会計、事務的支援」のような「管理支援業務」を明確に線引きしていること、および (3) 倫理見解が「法的支援サービス」と「事務的支援サービス」の間にあることを認めた。 3)弁護士のみが法律業務を引き受けることができることを強調することにより、倫理意見書は、 「文書審査は、他の法律支援業務と同様に、法律業務を構成し、弁護士でない者が、資格を有する 弁護士によって監督されている場合にのみ、合法的に行うことができる」ことを明確にしている。

連邦地裁は、文書審査に従事すること自体がノースカロライナ州での法律業務に該当すると結論づけたことは誤りであった。倫理意見書は、どのような種類の書類審査が弁護士業務に該当するかについては正確に掘り下げて いないが、「書類の審査」は弁護士業務の範囲内かもしれないが、「外国人助手は、顧客のために意思決定を行う際に、 独立した法的判断を行使してはならない」ことに留意している。N.C. State Bar Ethics Committee, 2007 Formal Ethics Op. この倫理見解は、ノースカロライナ州における「弁護士業務」の定義に内在するのは、少なくとも少数の独立した法的判断の行使であることを強く示唆している。

として、

Lola の苦情の要点は、彼が非常に厳しい制約の下で文書レビューを行ったため、法的判断 を全く行使しなかったということである。これらの申し立てを真実として受け入れ、解任の申し立てに必要なように、我々は、Lola が被告のた めに職務を遂行する際に法的判断を行使しなかったことを訴状で適切に申し立てたと判断する。Lola に最も有利な観点から訴状を公正に読めば、Lola は機械が提供しうるサービスを提供したということになる。当事者自身は、口頭弁論で、証拠開示書類のレビューの過程で、機械が完全に実行できる作業を引き受 ける個人は、弁護士業務に従事しているとは言えないと合意した。従って、我々は連邦地裁の判決を破棄し、この意見に沿った更なる手続きのために差し戻す。

結論

以上の理由により、連邦地裁の判決を破棄し、本件を差し戻す。

4 回答によって論述された事案は何か?

このように考えていくと、上記回答というのは、弁護士アウトサイド・ザ・ループ(弁護士の監督もなく独立した法的判断がなされる事例)であり、かつ、その結果についてのそのサービスを利用する者が、(自己の法律問題として)専門家レビューをなさないという限られた場合(以下の左側の図)についての理論的可能性を述べたにすぎない、という位置づけになります。

要するに、上の「大前提」というのが、ひとつも「大前提」ではなく、その大前提を満たす要件が、技術上、実際の運用上ともに難しいのではないか、考えられます。現時点の技術が、そのような弁護士(/もしくは、法律専門的なトレーニングを経た者)のレビューを経ないで利用できるのであるものかどうか、ということは、いえるだろうと思います。

自分の会社の契約についての法的リスク評価を支援するために利用するのであれば、それは、単に「支援」にすぎず、法的な判断をなさないので鑑定にはならないでしょうし、また、自己の事件ということになり、上記の規定に反するものとは思えないことになります(上の右側の例-弁護士さんであれば、それは、弁護士・オン・ザ・ループですね。では、法律の素養があるものだとするとどうか、ということはグレイかもしれません)。

報道等によるインパクトのわりには、現実的ではない事案を念頭に実は、実際に許容されない利用の仕方があると議論されているというのが私の見方です。

 

 

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